雑踏の中での抱擁
退院して2週間…
佐倉はあれから体調をこわしたとゆう理由で、一度も事務所に顔を出さない…
まあ当たり前と言えば当たり前…か…
俺に合わせる顔は無いよな…
麻未とはこの1週間会っていなかった…もう禁断症状が出ている…
声だけは毎日聞いてるけど…やっぱり…触りたい…この表現はちょっと変かな…
また明日から3日間、地方に行かなきゃならなくて…また会えない…
今日の仕事は週刊誌のインタビュー…
だけど…今日はなんだか事務所の人間や佐倉の変わりに来てるマネージャーの様子がおかしかった…
「おい…マネージャー…どうしたんだ?」
俺がそう聞くと、落ち着きが無くて様子がおかしい…
「お待たせしました!」
やっと仕事相手のお出まし…か…
え!?…編集者の連中と一緒に現れたのは…服部真之介!?…どうゆう事だ!?
俺はマネージャーの方を睨む…マネージャーは気まずそうに目をそらす
「いや〜…神楽さん、今回の対談相手ですが…知ってますよね?服部真之介さん、話題づくりには最高だと思うんですよ!」
編集者のヤツらはにこやかに笑って言った!
話題づくり…ね…どうせ売り上げの事しか考えてないんだろう…コイツと俺が対談だ!?冗談じゃねぇ!
怒りを通り越して、あきれていた…
俺は席を立ってその場から立ち去ろうとする!
それを服部が遮るように立ちはだかると、ニヤリと笑った…
「神楽さん…大変でしたよ…変な濡れ衣着せられて…責任とってくださいよ」
服部は俺の方を睨みながら、そう言った…
敵意むき出しだな…これでどうやって対談しようって言うんだ?どう考えたって無理だろう?
俺は服部を無視して、その場を立ち去ろうとした。
「いいんですか?僕を無視して…後で痛い目見ますよ!」
服部は淡々と冷たい言い方でそう言った。
痛い目!?脅しか!?
「芸能界を追放したいなら…勝手にすればいい!」
俺のその言葉に、服部は声を立てて笑った…
「フン…貴方個人の問題で済む訳ないじゃないですか…貴方1人のために、事務所も含めて貴方に関わる人全てが業界から消える事になる…かもしれませんね!」
服部の言葉に、俺の考えが甘かった事を思い知る…
俺はマネージャーの顔を見る…マネージャーは泣きそうな顔で俺を見ていた…
どうやら…そうゆう事らしい…
ああ…イライラしてきた…頭に来る!
我慢しなきゃいけないのはわかってる…だけど…あぁぁぁ〜!腹が立つ!クソヤロウが!
俺は傍にあった机を思い切り叩いた!
もの凄い音が響きわたった!
編集者を含む、周りにいた人間の間がシーンと静まり返った
その中で、服部だけが不気味に鼻で笑っていた…
「…わかった」
無理矢理納得した…納得せざるおえなかった。
俺は自分を褒めてやりたいと思った…よく我慢したと…だけど体中の血液が沸騰しそうだった…
お互いに向かい合わせに座り、対談をする…
握手して写真を撮る!
「神楽さん、笑って下さい」
そう言われたが…いくら俺が俳優でもそれは無理だろう…
吐き気がするほどムカムカしていた…
対談は芸能界の話から…仕事の話…そして話題はあの事故の話へとなる…
服部は任意で事情聴取されたことを話していた…ようはイメージを良くする為に俺との対談を企画したとゆうことか!?
ハハハハハ…この俺がまんまとコイツの歯車に巻き込まれてる…気にくわねぇ〜…
俺はこの話題に関して一切話さなかった…
「神楽さん…何か一言下さいよ…」
編集者がそう言ってきた…コイツは何を考えてる!?…もう我慢の限界だ…
俺はその編集者に、手元にあったコップに入った水をぶっ掛けて席を勢いよく立ち、その場を後にした!
マネージャーの謝る声が後ろから聞こえていた…
こんな事が2週間前にあって…今日がその週刊誌の発売日…
俺はその雑誌を買ってページを開いた…
そこには対談の模様が載っていて…事故の話の所にこう書いてあった
神楽「服部さんには悪い事しました…とんだ濡れ衣をかけてしまって…」
服部「いえいえ…普段できない体験で、勉強になりましたよ」
そう書いてあった…俺は怒りで手が震え、雑誌を握り締めてゴミ箱に投げ捨てた!
嘘ばかり…嘘ばっかり…クソッタレ!!
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え!?何これ???
優介の載っている週刊誌を見て、ビックリした!
あの服部なんとかって人と優介が対談してる…
電話では何も言ってなかった…また私に心配をかけまいとしてたのかな…
こんな事…おかしい…ありえない…
この人と対談する事自体信じられないのに…この内容…
どうゆう事!?
私はそんな事を思いながらコンビにを出た…そして交差点に立つ
携帯が鳴った…
優介からだ!
「もしもし…」
え!?…何!?無言!?…優介だよね?
「ゆ、優介?」
「声が聞きたかっただけだよ〜」
ちょっとおどけた感じの声が聞こえてきた…でもなんだか違和感を感じる
フッと顔を上げると、交差点の向こう側に優介が立っていた…
おかしいくらい…突然現れた事を不思議ともなんとも感じなかった…
優介は電話を耳に私に手を振っている。
私は携帯を閉じる…信号が青になって優介に向って小走りに走った
優介も私に向かって歩いてくる…
ここの交差点は中央分離帯の所にも人が立って待っていられる場所がある
その場所まで来ると、優介が小走りに走ってきて、私をいきなり抱きしめた!
通り過ぎていく人たちが私達を見ている…優介はそんな事おかまいなく抱きしめていた
「麻未…麻未…麻未…麻未…」
私の名前を、震える声で何度も口にしていた…何かがあった…そうよね?
信号は赤になり…私達の周りを車が走り出した…
人や車が通り過ぎる雑踏の中で…
私達の周りだけが音もなく静かに時間が止まっているような気がした…
優介の対談の相手が服部だった。
ありえない設定に優介は怒りを露にする
雑誌の記事も偽りばかり…裏で大きな力が働いたとしか考えられなかった…
次回、優介は記事の事で怒りを通り越して落ち込んでいた…そんな優介の傍に麻未はいた…
こんな優介をおいて、離れる事ができなかった…