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月明かりの中の優しい眠り

事故の事…優介は私に隠していた…心配させたくないから…だよね?

わかってるんだけど…もしも自分が反対の立場だったら、たぶん同じように黙ってる…

でもやっぱり…心配だった…だって、もしかした怪我だけで済まなかったかもしれないんだから…

私はそんな事を思いながら、テレビをつける。

あ!?この人…服部…なんとかって人…

優介の事故の原因を作ったかもしれない人…

こんなドラマ…なんでやってるの!?犯罪者が出てるのに…


そのドラマは恋愛物で、ちょうど彼女の乗った列車を彼が追いかけているシーンだった…

足がおっそーい!それに泣き方、わざとらしい…女優さんの方は切ないわ…うまい!

前に優介が言っていた…代役になった人はボンクラだって…

その言葉に変に納得していた…

こいつの顔を見てるとイライラしてくる…

違うところに変えようっと!

チャンネルをころころと変える!


あれ?!…今の?私は急いでチャンネルを戻す…

CM…優介が出ている…私は言葉を失う…かっこいい…

薄暗い倉庫の中に夕日がさして、そこに浮かび上がるシルエット…

銃声の音がして優介が走り出す!

全身黒ずくめで、長いコートを着て走る…

そして階段を駆け上がり屋上に立って、優介のアップ!

フッと笑い携帯取り出して耳にあてる…


これって携帯にCMなんだ…なんだろう…映画のワンシーンみたいだ…

こんなにかっこよく見えるのは私が優介の事を好きだからだろうか…

大好きで…大好きで…大好きで…たまらない…


私はテレビをつけながらソファーに横になる…

なんだか眠くなってきちゃった…今日は色々あって疲れた…

私はなんとか起きていようと頑張ったけど…瞼の重さに耐えられなかった…


ツンツン…ツンツン…

頬に違和感を感じて目を覚ます…目の前に優介の顔があった…

「ただいま」

優介が微かな声でそう言った…

「おかえり」

私はそう言って起き上がる…

「遅くなって、悪かったな…明日の朝送ってやるから今日は泊まってけ…」

優介は寝室で着替えながらそう言った。

泊まっていけって…それは…それは…そうゆう事!?

優介は私の方を振り向いて、笑ってる

「瞬きが増えてるぞ!」

優介にそう言われて、思わず目を手で覆う…


私の視界がいきなり開ける…優介が来て私の手を掴んで両側に開いた。

優介がニッコリと笑っていた…

気になってる事がある…

「優介…私に隠してる事があるでしょう?」

私は真剣な目で優介を見つめる…優介は不思議そうな顔をしていた

「優介の撮影中の事故って…」

そこまで言うと、優介の顔がとたんに曇った…

そして私に背中を向けてしまう…

聞いてはいけない事だった!?…だけど心配で…

「麻未…大丈夫だから…俺は大丈夫…心配するな」

私に背を向けたまま、優介はそう呟いた…

優介の髪の毛が揺れていた…


優介は立ち上がると、私の手を掴み手を引きながら寝室に歩いてく

私は引っ張られるがまま歩いていった…

私を見つめる…何か物言いたげな瞳をしていた。

「もう遅いから寝よう…」

優介はそう言って、私の頬を触る…優しくて悲しい瞳…

時計は午前2時を指していた…

優介が布団をはぐり、私をベッドの上に座らせると、着ていたブラウスを脱がせ、スカート…そしてストッキングを脱がせて行く…

でもね…そんな雰囲気じゃなった…優介からもそんな雰囲気を感じない…

クローゼットの中から大き目のTシャツを出すと私に着せる…

そして優しく私の体をベッドに横たわらせると…優しくキスをする…

優介は私の横にもぐりこんで来ると、腕枕をしながら真剣な瞳で私を見つめる

「麻未ごめんな…黙っていて…だけど…お前に心配かけたくなかったから…俺の前では笑顔でいて欲しかったから…わがままでごめん」

そして私を抱きしめる…

ううん…ごめん…わかってた、優介の気持ちはわかっていた…心配してくれてありがとう…

私は心の中でそう呟き、優介の胸に額をくっつけた。

優介の鼓動を聞きながら静かに目を閉じる

優介は私を優しく包み込むようにして抱きしめてくれた…


穏やかな月明かりの中、私達は布団に包まり眠りに付いた…





優介の事故の真相を何も聞かせていなかった麻未は、それが淋しかった…

優介の事故の件はまだ終ってはいない…

そんな中で麻未は優介の事が心配だった…

優介と麻未にまた穏やかな優しい時間が流れる

次回、服部が優介の前に現れる!?

優介の意思とは無関係に金と権力の渦の中に巻きこまれていく…

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