愛してる…愛してる…愛してる
麻未は布団で寝ている…精神的にかなり疲れたんだろう…
俺は麻未を放っておく事ができず、怒られるのを覚悟で病院に電話をして、今日だけ無理矢理外出許可をもらった…
麻未の仕事場には電話をかけて、休ませてもらうことにした…
だけど…あの男はいったい誰なんだろう?
どう見ても、麻未よりかなり年上に見えたけど…
あの言葉からして、男女の関係にあったって事はわかる…
…腑に落ちない…まあ昔の麻未を知ってるわけじゃないからな…
だけど…あんな父親みたいな年齢のヤツと…え!?…父親!?…まさかな…
まさか…そんな事…俺は自分の抱いた想像を打ち消すように首を横に振った
「優介…」
麻未の声に俺は振り向いた。
麻未は頭に手をやって、けだるそうに上半身を起こした。
「…いい匂いね」
「だろう?俺特性の卵雑炊を作ってみました!食べてみる?」
麻未は弱々しく微笑んで頷いた…
俺は卵雑炊を机の上に置いて、茶碗に盛る…温かい湯気が立ち上った
麻未はそんな俺を机に頬杖をつきながら見つめていた…
スプーンで雑炊をすくって、麻未の口元に運ぶ…
「フーフーしてくれないの?」
その言葉にちょっと驚いた…麻未からこんな甘えた言葉を今までに聞いたことがあるだろうか…
でもその言葉が、とても嬉しかった…
俺は口を尖らせてフーフーと雑炊を冷ましてから、麻未の口元に雑炊を運ぶ
麻未はその雑炊を口をあけて食べる…そして微笑んだ
「…おいしい」
麻未は一言そう言った…
なんだか、今日の麻未は今まで見てきた麻未と少し違って見えた…
俺はそんな麻未をなんとなく見つめていた…
雑炊を食べ終わる頃、麻未がいきなり食べるのを止めてスプーンを置く
そして深呼吸をした…
「ごめんね…」
いきなり謝った…いったい何に対して謝っている…
麻未はまた深呼吸をする
「…今から私の過去の話をします…いいでしょうか?」
麻未は淡々と他人行儀な言い方をしてそう切り出した…たぶんそうやって違う自分を演じないと話せない事なのかもしれない…そう思った。
俺は頷いた…
「あの男は私とは血のつながりの無いけど、私の義父です…」
麻未のその言葉に俺は衝撃を受けた!
この時、自分がどんな表情をしていたのかわからない…ただ麻未が俺の表情を見て、俺の隣に来ると手を握りしめ、俺を見つめた…麻未の瞳は真っ直ぐに俺の瞳の奥底の心を見ているようだった。
「私の母親は私が高校生の時に今の義父と結婚したの…あの男は酒を飲んでは暴れて、私も母もどんなに暴力を振るわれたか…そんな家に帰りたくなくて街を歩いていたら、補導されて…警察に義父が迎えにきたわ…」
そこで、一瞬麻未は目を伏せて言葉を飲み込む…言いにくい事…俺にとっても覚悟しなければいけない言葉…
「家に帰っても母はいなかった…そこでいきなりあの男に犯されたの…それからは何度もそうゆう事があって…」
麻未の声が震えている…もういい…話さなくていい…
俺は麻未を抱きしめる
「もう話すな…話さなくていい…」
俺は知らず知らずのうちに涙を流していた…なにがどう悲しいのかわからない…
「優介を傷つけてごめん…身勝手なのはわかってる…だけどね聞いて欲しい、私の全てを知ってほしい…それでもし優介が私の元から離れていくのだとしたら…それはしかたが無い事だから」
麻未はそう言うと話を続けた…
「私は思ったの…この苦しみから逃れるには殺すしかないって…この火傷はその時に義父が咄嗟に手に取ったやかんをぶつけられた時にできたものなの…結局殺す事もできず私は入院した…」
大丈夫そうに話しているけど…大丈夫じゃないのが俺の体に伝わってくる…
「大丈夫か?」
俺はそう聞いた…麻未はその言葉に何も答えずに、次の言葉を口にした
「入院した事によって…受け入れがたい事実が判明した…妊娠してたの…」
妊娠してた!?
俺は麻未の体を自分から離すと、麻未の顔を覗き込んだ
麻未は俺の顔を見つめていた…それはまるで話を聞いて俺がどんな反応をするのか怖がっているようにも見えた。
わからない…ただ涙が流れた…とにかく苦しかった…悲しかった…言葉では表現できないような感情に押し潰されそうになった…
「ごめんね…優介…ごめんね…泣かないで…傷つけてごめんね…」
麻未はそう言いながら俺の涙を拭う
傷ついたわけじゃない…違う、そうじゃない…
お前の過去にそんな事があったなんて…その小さな胸の奥に悲しい過去を押し込めて、見ないようにして生きてきたのか…
確かに麻未の口から殺すって言葉が出てきたときはビックリだったけど…それよりもあの男との間にそんな事があったなんて…そんな現実を背負いながら生きてきたのかと思うと、胸が張り裂けそうになった…
そんな思いをしてきて、今もまた俺の心配をしてるのか?
馬鹿だな…お前は…
俺は声をあげて泣いていた…そんな麻未を見てると切なくて…泣かずにはいられなかった…
何かしてあげたかった…何かを言ってあげたかった…だけど…だけど…言葉が見つからない
「…お前の代わりに泣いてやる」
やっとの思いで搾り出した言葉がそれだった。
麻未はその言葉に泣きそうな笑顔を浮かべて、何回も頷いてた…
「嫌われたかな?」
麻未が俺の表情を伺いながら弱々しく笑ってそう言った。
嫌いになる!?まさか…そんな事があるわけない…
それどころか俺の中の麻未への気持ちがどんどん膨らんでいく…
泣きすぎて感情のコントロールがうまくいかなかったのかもしれない…
俺は麻未の髪の毛を掻き揚げて、額に口づけをする…愛してるよ…
瞼に口づけする…お前が大事なんだ…
頬に口づけをする…大切にするよ…
唇に口づけする…ずっと俺の傍にいろ…愛してる…
俺は麻未の瞳を見つめる…麻未の瞳に俺が映っていた…
不意に麻未の顔が俺に近付いてきた…そして頬を伝って流れる涙に口づけをしてくる
俺は静かに目を閉じた…麻未の気持ちが心の奥底まで浸透していく…
そしてそれは俺の心を満たしていき、気持ちが零れて溢れ出す。
「…お前が欲しい…抱いても…いいか?」
自然とその言葉を口にしていた…いつもならそんな言葉を出す前に行動に移していたと思う。
だけど…今は…あんな事があった後で、麻未を傷つけたくはなかった…。
麻未の腕が俺の首に伸びてきて、それと同時に俺の唇に麻未の唇が重なる…深い深いキスだった…。
俺は麻未の服を丁寧に脱がせる…同時に麻未は俺の服を脱がせていく…
麻未は上下白の下着に白い肌が仄かにピンクに染まっていた…
俺は麻未を抱え上げた…一瞬、太ももに痛みが走った…
だけど俺は何食わぬ顔でひいてあった布団に麻未を寝かせる…
足は痛かった…だけど…そんな事よりも今の自分の気持ちを抑える事の方が難しかった。
俺は麻未の横に寝そべると麻未を見つめた…
その二重の瞳も低い鼻もそのポテッとした唇も…可愛かった…
俺は麻未の頬から首筋へ指を走らせる…そしてブラジャーを外した…小さな胸が露になる。
耳に口づけをして、首筋から乳房を優しく唇で触れる…麻未の体が微かに反応し火照りだす
乳房から肌を伝って体の線を唇でなぞる…麻未の口から吐息が漏れる…
麻未の手が俺の頬を包む…俺は麻未の瞳を見つめた
澄んだ瞳…瞳の奥に悲しい影をもちゆらゆらと揺れていた…
麻未の唇に口づけする…深い口付け…
俺は、麻未のショーツを足の指先で下ろす…
麻未と俺は一つに重なり、麻未の中に俺は入り込んでいった…
あたたかい…
麻未の体は火照り淡いピンクで綺麗だった
麻未の心が俺に伝わり、体の隅々に浸透していく…
お前がそんな暗い過去が消えてしまうくらい、これからの未来を一緒に輝かせていこう…
俺は心の中でそう強く思った。
俺のリズムに合わせて、麻未の心地のいい吐息が漏れる
麻未…俺の大事な存在…愛してる…愛してるよ…
俺の鼓動が高鳴る…麻未の頬が高潮して赤くなっていた…
二人の体が脈を打つ…
麻未の愛が心に波紋を広げ快感が広がっていく…
俺の腕の中で麻未は優しい表情を浮かべていた
「優介…」
麻未はそう言って、一筋の涙を流した…
悲しい涙を二度と流させたくない…
俺は麻未の唇に口付けする…
優しい穏やかな時間が二人を包んでいた…
麻未の過去の闇が露となって、優介は今までにない麻未の顔を知り、今まで以上に麻未への思いを強く持って行きます。
ついに麻未と優介が結ばれ…心地のいい時間が流れます
次回、麻未を待ってる優介の所に佐倉が現われ、そこに偶然麻未が現れます!
優介はその時!?麻未はその時!?