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あなたの鼓動を聞く それが答え

来てしまった…

麻未に会いたくて、痛い足を引きずってタクシーに乗って来てしまった。

俺から「しばらく会わないようにしよう」と言ったのに…俺が耐えられなかった…

麻未に対しての罪悪感か…映画の一件への苛立ちか…自分でも整理がつかない感情があって、そんな時にただ麻未の顔を見たくて、麻未に傍にいて欲しくて…


さっきまで降っていた雨もやんで…雲の隙間に星が出ていた…


う!?ん!?…あれは…麻未と…永井…涼!?

あいつぅぅ…俺のいない間に!

手をつないでいるわけでもないし、ふっついて歩いているわけでもない…でも…なんとなくいい雰囲気だった…気に食わない!

俺はゆっくりと二人に近付いていく。

性格上、見て見ぬふりだとか…物陰から様子を伺うとか…そんな事は出来ない。


二人は俺に気付いて、一瞬足を止める…

永井はちょっと複雑そうな表情を浮かべたが、麻未の方はもうこれ以上は無いってくらい、顔をクシャクシャにして満面の笑みを浮かべいた…


俺は二人の前に立つ

永井は悲しい笑みを浮かべていた…

「神楽さんのいない間に、麻未さんを頂こうかと思ったのに…みごとに玉砕されましたよ」

永井はちょっとおどけたように笑い、ため息をつく…

麻未はその言葉に少し苦笑いを浮かべる

今日、二人の間に何があったのか…

こうやって、自分がふられてしまっても麻未の傍にぴったりとついて、なおかつ麻未への優しさを忘れない…こいつは本当に麻未の事を愛してるんだ…あらためてそう思い知らされた…


誰も悪いわけじゃないのに…そうゆうのも気に食わない自分がいる…

…そう、俺は意味の無い嫉妬をしている…

わかってるさ…こんな事に嫉妬するなんて、くだらないって!でもどうにもならない感情があて、頭ではわかってるのに、心がついていかなかった。


え!?

俺は驚いた!

麻未が突然、抱きついてくる!

今までに無い麻未の行動にちょっと戸惑った…

足に一瞬、痛みが走った…だけど、今こうして目の前に麻未がいて、そして俺に抱きついている麻未がいる事に感動して、痛みなんてどっかに吹っ飛んでしまった…


麻未は震えていた…泣いているのか?

麻未の体が冷たかった。


麻未…愛おしい麻未…

俺は冷たい麻未の体を抱きしめる

もう離さない…二度と離れない…離れられない…


永井はそんな俺たちを見て、悲しく静かに微笑むと俺に対して軽く頭を下げて、俺たちに背を向けて暗闇の中へと消えていった…

そんな永井が俺なんかよりもずっと大人に見えて、今までになかった感情…そう、永井に対して尊敬に近いものを感じていた。


俺達は手をつないで歩き、麻未の部屋に入って、電気をつける。


麻未が俺の顔を見て、ビックリした顔をしていた。

「外は暗くてわからなかったけど、無精髭凄いわね…あとで剃ってあげるね」

麻未が可愛い笑顔でそう言った。


いい事思いついた!


俺は麻未の腕を掴むと俺の頬を麻未の頬に摺り寄せる!

「…な!?…イタ…イタタタ…優介止めてよ!痛いってば!」

俺はそんな麻未の言葉なんかおかまいなく、頬ずりをやり続けた…

無精髭ってけっこう痛いんだよね…ククク

面白〜い…

心が温かくなるのを感じる…こうゆうのが心地いい…

あ!?っと!?

ドッス〜ン!!

調子にのりすぎて、麻未を下にして転んでしまった!

いっ!?つぅぅ…

足に痛みが走って、顔が自然と歪む…

「優介、大丈夫?」

麻未のその声に、俺は痛いのを我慢して、ニッコリと笑った

「もう!優介ったら!痛いじゃない!」

そんなちょっと怒った顔も可愛かった。

俺の顔のすぐ目の前に麻未の顔がある・・・

綺麗な瞳…なんの濁りも無い綺麗な心が物語ってるかのように輝いていた…

麻未の瞳は澄んだ湖のようにゆらゆらと揺れていた…

麻未は俺を見つめる…その表情はとても穏やかで優しい雰囲気を持っていた…

俺は麻未の瞳に吸い込まれるように、麻未の唇に自分の唇を近づける

麻未は静かに目を閉じた…

俺達は唇を重ねる


静かで優しい時間が流れていた…

このまま時間が止まればいいのに…俺はそう思った。


 ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞


優介の唇は温かかった…

…キスされたのよ!

昼間、佐倉さんに言われた言葉が一瞬頭をよぎる!

ほんの一瞬だったけど、体が勝手に優介を拒絶した!?

優介はそれに気付き、私から体を離なす…

「…麻未!?」

優介は不思議そうな顔をして、私を見つめる

私は何も言えないでいた…

優介に見つめられて、何もかも心に溜まってるものを吐き出してしまいたい衝動にかられる。

でも吐き出して…どうなるんだろう?

優介は何て言うだろう?…それを思うと怖くて言う勇気がなかった。

「麻未…やっぱり…今日、何かあっただろう?いつものお前と少し違うような気がする」

優介は私の髪の毛を掻き揚げながらそう言った。


佐倉さんと何かあったの?キスしたって本当?

聞きたい事はあった…でもそれを聞く事で今の関係が壊れてしまうんじゃないかと…それが怖くて聞けない自分がいた…。


どうしてそんな行動をとったのか…自分でもわからない…

私は優介の首に手をかけ、自分から激しくキスをする…

私自身が優介への疑惑に対しての嫉妬から逃げようとしていたのか…壊れてしまうんじゃないかとゆう恐怖から逃げようと無理矢理自分の気持ちを納得させようとしたのか…わからない…ただそんな自分の苛立ちを優介にぶつけてしまっていた…


涙が流れた…どうにもならない感情が溢れ出して涙になった…

「麻未…どうした?…こんな…お前らしくないぞ?…お前からキスしてくれるなんて嬉しいけど…なぜ泣いてる?」

優介は優しく微笑んで、私の頬を伝う涙を手で拭きながらそう言った。

優介は私から離れると、座った状態で私を引き寄せ抱きしめる…

優介の心臓の音が聞こえる…優介が傍にいる、私を抱きしめてくれる優介がここにいる…

これが答えよね?

「優介…これからも私の手を離さないでくれる?」

私は優介に涙声でそう言った

「それはこっちのセリフだ…今日だって永井とお前が一緒にいるのを見て、正直穏やかじゃなかった…俺にはお前が必要なんだ…俺から離れるな!」

優介はよりいっそう、私を強く抱きしめた…

そして耳元にキスをする…

優介の唇がゆっくりと耳元から首筋をなぞる…

髭の感触がくすぐったかったけど、温かさと優しさを感じた。

優介の手が私の胸元のボタンを一つずつ丁寧に外す…

私の中には何の抵抗も無かった…むしろそうなる事を望んでいる自分がいた…

優しくゆっくりと私からブラウスを脱がせる優介…

優介の力強い腕に身をゆだねる私…

肩から背中にかけての火傷の痕を優介は優しく手でなぞり、その火傷の痕に何度も優しくキスをした。

優介の優しさを含んだ愛が、私の心の中に波紋をつくり広がっていくのを感じていた…





優介は自分から「会わないようにしよう」と言ったのに麻未に会いにくる…自分にとって麻未の存在は癒しだと思い知る。

麻未もまた佐倉の言動に振りまわれつつも、優介の出現によって、何が答えなのかを確認した。

次回は優介と麻未…ありゃりゃ…いい所で!

でもそれがまた麻未らしい!?

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