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不意のキスに感じる罪悪感

入院してから、今日でちょうど一週間…

佐倉はあれ以来、病院に来ても必要な事だけ話すと帰ってしまう。

麻未からはたまにメールが来る…だけど昨日の最後のメールにはこう書いてあった。


メールをしていると

ついつい優介に会いたくなる

だから少しメールを控えます。


メールはそうやって終っていた…

確かにメールのやり取りをしていると、お互いに恋しくなってしまう…

でも俺にとって、麻未からのメールは元気になれる薬みたいなものだった…

毎朝、かならず、おはようメールが送られて来てたのに…今日は来ない…

俺は外を見ながら、心の中に広がる淋しさを感じた…

麻未…会いたいな…


なんとなくつけていたテレビから芸能情報が流れる…

一応、見ても見なくても毎朝テレビはつけていた

神楽優介って言葉が耳に入って、テレビを見る。


は!?何!?どうゆう事だ???

俺は耳を疑った…


神楽優介が降板となった映画の監督が変更!?

新たな作品として蘇る!

主演、服部真之介…服部!?


なんなんだ!これは!?


俺はこのニュースに愕然として、ベッドの上に座り込んだ…

嘘だろう…?


その時だ、慌しく廊下を走ってくる音と共に、勢い良くドアが開き佐倉が病室に入って来た!


息切れしている呼吸を整えながら、佐倉は俺に近付いてくる

「優介、見た…わよね?」

佐倉が言おうとしいる事…たぶん今のニュースの事だろう

「元木監督から鬼柳監督に変更になったの…それに主演は服部真之介に決まったわ…」

佐倉は俺の顔色を伺いながらそう言った。

「なぜだ!?元木監督はなぜ降りたんだ?それに服部って?おかしいだろう?」

俺の問いに佐倉は気まずそうな顔をしている

どうやら言いにくい事らしい

「何だよ…はっきり言えよ!」

俺の言葉に佐倉は意を決したような顔で口を開いた。

「元木監督は最後まで優介でやりたいって言い張ってたみたい…だけど、スポンサーがみんな降りちゃって…それで打ち切りの話が出たんだけど…服部グループが違う監督にするならメインスポンサーになるって手をあげたの…そうしたら手のひらを返すようにスポンサーもついて、あっとゆう間に主演は服部真之介に決まった…どうも裏でお金が流れたみたい…でもね…でもこれは確証の無い話なの…それにどんな優秀なスタッフでもそのおかれている立場を揺るがされる恐怖には弱いものよ…」

佐倉はそう言って、ため息をついた…

立場を揺るがされるって!?…つまり脅しがはいった事かよ…

あ〜…面倒くせ〜!!!


俺は痛い足を引きずりながら、パジャマの上を脱いでTシャツを着る!

「優介!ちょ、ちょっとやめて!何処に行くのよ!?」

佐倉はそんな俺を止めながら叫んだ!

俺は佐倉の手を振り払う!


腹が立って、腹が立って、仕方が無かった…

監督と俺と一生懸命に取り組んだその作品が…なぜだ!?

金だとか目に見えない圧力だとか…

そんなものに振り回されて、せっかくのいい作品を台無しにする気かよ!

あんな服部みたいな役者にやらせるなんて!!

ありえないだろう!?

あ〜!もう!!何もかもが頭に来る!

「事務所に行く!」

俺は佐倉の制止を無理矢理払い除けて病室を出ようとした…


う!くぅ!つぅ〜…

激痛が左足を襲う!

佐倉が必死の形相で俺の太ももの傷を掴んでいた…

あまりの痛さに俺は床に倒れ込み、一瞬、気が薄れそうになる…

「…佐倉…お前」

あまりの痛さに声が出ない、痛みを堪えるのに精一杯だった。

「優介、ごめんなさい…ごめんなさい…お願いだからもう少し大人になって!正しいものが正しいものとして通る世界じゃないのよ!それくらいわかるでしょう!?」

佐倉は泣きながらそう叫んだ!


俺にそれを納得しろって言うのか?

そんなもの納得したくないんだよ!

心の中で俺は叫び続けた!


俺は床に怒りを叩きつける…何度も何度も…

血が滲み、拳が潰れるんじゃないかと思うくらい…でも心の方が痛すぎて拳の痛みは麻痺していた。

佐倉がそんな俺を止めようと、腕にしがみつく。

そして、佐倉の平手が俺の頬に飛んだ!

パン!!と甲高い音が響く…

そして次の瞬間…


え!?


一瞬、面食らった…

佐倉の唇が俺の唇へと重ねられた…

数秒の後、佐倉は俺から飛ぶように離れる!

自分でも自分のとった行動に驚いているような表情を浮かべていた。

佐倉は自分の口を押さえて、逃げるように病室から出て行った…。


俺は口を押さえたまま動けなかった…

今のは何だったんだ?

言いようの無い驚きと怒りにも似た悲しみが残っていた…


この間のブーケの一件を思い出す…そしてキス…

出てくる答えは一つだった…

佐倉が俺のことを?

だけど…俺が今一緒にいたい相手は麻未だ…


佐倉が掴んだ所には包帯に血が滲んでいた…

佐倉の言いたい事もわからないわけじゃない…

だけど…だけど…


麻未…お前だったら、なんて言うかな?

やっぱり怒るかな?

俺がガキなのか…

ベッドを背に天井を見上げる…


佐倉に一方的にキスされたとはいえ、麻未に対して少し罪悪感を感じていた。






優介がこだわっていった映画が、監督が変えられ、しかも主演はあの服部!?ありえない話が現実として動き出していた。

佐倉の不意のキスに驚き戸惑う優介、麻未に対して罪悪感を感じる…

次回、佐倉の魔の手が麻未に!?嫉妬の渦が巻き起こる!?

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