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散り散りになったブーケを抱きしめて

あ!!!

昨日、泣き過ぎたせいで、目が…目が…

両目がお岩さん状態!?

この顔で仕事に行くの?…どうしよう…

ずる休みしちゃう?…ううん、駄目よ!今月は金欠だもの、休むなんて無理よ!

サングラスかける?…ただの怪しい人よね?

とりあえず、タオルで冷やしてみようっと…


ハァ〜…冷やしてみたけど、ただの気休めだったわ…。

しょうがない、笑われるのを覚悟で出勤しますか!

私はできるだけわからないようにと思って、前髪を駆使してみたけど、無駄な努力だったわ。

出掛けに鏡に向かって笑顔を作ってみる…でも目がお岩さんなものだから、さまにならない笑顔…

思わず自分の顔を見て吹き出してしまった。

めげてばかりはいられない…

頑張れ!麻未!よっしゃ〜!!

私は自分にそう気合を入れて、アパートを出た。


 ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞


麻未はどうしてるかな…

病室から見える景色は、綺麗で切なかった

麻未とこんな景色を見れたらどんなにいいか…

フッ…何を考えてるんだか…

自分で選んで、自分から麻未に告げた選択なのに…

ハァ〜…俺はため息をついた…


なんとなくつけていていたテレビから、芸能情報が流れてくる…

神楽優介の事故に事件の可能性…

怪我は全治3週間、撮影中映画降板、芸能界引退説も浮上…

神楽優介の席を誰が埋めるか?


なんだか大げさな事になってるな…

芸能界引退?誰がそんな事を言ったんだか…

全治3週間?…周りが俺の身を守るためについた嘘…

本当は全治10日前後…

事件の可能性もあるからって、嘘をでっち上げた…

こうゆう芸能情報は本当にあてにならない…


病室のドアが開く

「優介、どう調子は?」

佐倉がそう言って、バラの花束を抱えながら入ってきた。

俺の枕元には昨日、麻未から貰ったブーケが置いてあった。

佐倉それに気付く

「あら?これは誰から?」

佐倉はそう言うとそのブーケを持ち上げる

「麻未からのプレゼント」

正直に言った俺が馬鹿だったのかもしれない、佐倉は意味ありげな表情を見せる

「何か言いたいのか?」

俺は佐倉の表情が気に食わなかった…

「こんな時に女と密会?いい気なものね!いいかげんにしてよ!!!」

佐倉はそう言って、思い切りブーケを床に叩き付けた!

ブーケは無残にもバラバラになって飛び散った…

まるで麻未の心が砕け散ったようで、悲しみが心に広がり痛かった。

俺はいいようのない怒りを感じる!

「優介!私がどんなにあなたを心配してるのかわかる?それなに…それなのに…女と会ってたなんて!」

佐倉は怒りで声を震わせそう怒鳴り散らした!

そして持ってきたバラの花束を俺に投げつける!

バラの花束は俺の胸に当たり、花びらがハラハラと落ちた…。


「いいかげんにしろ!」

ダン!

俺は怒りの持って行き場がなく、拳を握り締めて思い切り壁を叩く!

その時、自分がどんな目で佐倉を見ていたのかわからないが、佐倉は息を呑んだように動かなかった。

「…俺の前で、二度と麻未の事を悪く言うな…いくら…佐倉!お前でも許さない…」

俺は必死で怒りを抑えながらそう言った。

佐倉は少し怯えたように病室を出て行く、泣いている様に見えた…だが怒りの感情の方が強くて佐倉の事を思うほどの余裕が無かった。


麻未…ごめん…

お前から貰ったブーケ…

俺は散り散りになったブーケを集めてそれを抱きしめた…


怒りと悲しみが混ざり合ったような感情が俺を支配する…

麻未の気持ちを踏みにじられたようで、悲しかった…

自然と涙が頬を伝い流れて落ちる

心が痛くて…痛くて…涙が止まらなかった…。


麻未…待っててくれ…

俺を信じて待っててくれるよな…

俺は心の中で何度も何度もそう呟いた…。

佐倉は麻未から貰ったブーケを床に叩き付けた。

この佐倉の行動に隠された気持ちにまだ優介は気付いていない。

次回は佐倉の優介に対する気持ちが徐々に現れていきます。

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