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撮影中の爆発事故

メールの着信音?

またか?

ここのところ怪しいメールは来なくなって安心していたのに…

メールを開く…

何だ?空メール???


「優介!」

ヘアーメイクさんの声に慌てて携帯を閉じた。

「今日、アシスタントの子が休みでさ、急遽うちの後輩に仕事頼んだ、一応紹介しておくわ」

俺担当のヘアーメイクさんが鏡越しにそう言って、連れてきたのは…

おいおい…マジかよ…

「永井涼といいます、今日一日よろしくお願いします。」

この間の…麻未の所の客だって男…

よろしくだって?…俺はお前とはよろしくしたくないんだけどね…

ああ、わかってるさ、大人気なくやきもちやいて、こんな事くだらないって…

まいったね…まったく…

俺はそう思いながらため息をつく

俺の表情を見て、ヘアーメイクさんが俺の顔を覗き込む

「もしかして知り合いとか?」

そんな興味津々な顔をされても困るんだけど…

「いや…別に」

俺は言葉少なに答える…永井はそんな俺を見ながら鼻で笑っていた…。

いけ好かないヤツ!!!


でも仕事はいたって真面目で手際もいい…

へ〜…見た目はチャラチャラしてたからどうかな?って思ったけど…

「さあ、出来たぞ!どうだ?今日の仕上がりは?」

俺は色々な角度から見ながらチェックする…

「さすが!いいんじゃない!」

「じゃあ、永井、後の片付けと掃除頼んだぞ!」

ヘアーメイクさんはそう言って、その場を後にする

「神楽さん、会いたかったんですよ」

永井は掃除をしながら話しかけてくる

「あれ〜?お前って俺のファンなの?」

わかってる、わかってる、凄く大人気なく嫌な言い方してるって…

そんな俺を見ながら永井はため息をついて目を伏せる…

「悪いんですけど、今ちょっと外に出れますか?人気の無い所で話をしたいんですが」

永井はそう俺の耳元で囁やく…真剣な目をしていた…

なんだかやきもちを妬いて、子供じみてる事をしてる俺が情けなかった…

「少しの時間しかないけど…いいか?」

俺たちは外に出て、建物の影に入る

「で、話って?」

俺がそう言うと、永井は自分の鞄の中から2枚の写真とネガを出した…

その写真を見て愕然とする…

こ、これは…あの時の…麻未が襲われたときの写真…

麻未の上半身があらわになった写真と俺が男達とケンカをしてる写真

「あの日、この写真をネタに金にしようって話してるヤツを、あのバーでたまたま見つけて…この写真とネガがそいつらの手にあったら大変な事になると思って…ケンカのどさくさに紛れて奪い取ったんだ…」

永井はそう言いながら、唇の横にできた小さなあざを触る…

ケンカ!?…そうか、あの時のケンカ!?

「お前、あの時のケンカ…」

俺は自分が恥ずかしかった…そうか、そうだったのか…

「神楽さん!」

永井はそう言って、俺の襟元を力強く掴みあげる

「あんた!しっかりしろよ!…麻未さんをもし傷つけるような事をしたら、遠慮なく麻未さんを奪うぞ!!」

永井は怒りを噛み締めるようにそう言って、俺から手を離すと俺を真っ直ぐに見つめる…それはそのまま麻未への思いを感じさせるものだった。

俺はなんて馬鹿なんだ…やきもちなんて感情に流されて…一番大事な物を見てなかった…

「永井…ありがとう」

俺の口から自然とその言葉が出ていた…

俺の写真が出る事はどうでもいい…だがこの麻未の写真…

流出する前に永井が見つけてくれて本当に良かった…

「本当に感謝する…」

俺は永井の手を掴んで頭を下げた…

「ハッ!やめてくれよ…」

永井はそう言いながら俺の手を払い除けて、ため息を一つつく

「かなわないな…そんな麻未さんの事を大事に思うなら、もう少し回りを見ろよ…とにかくその写真とネガはあんたに預けたからな!」

永井はそう言うと仕事に戻っていった…。

まったく…俺は何をやってるんだ?…

麻未を傷つける事はしたくない…なのにこんな事に巻き込んでしまう…

俺が俳優だから?…俳優としての俺と付き合ってるからか?

ハァ〜…


「優介!?優介!!」

佐倉の声が聞こえてきた…時計を見る…

そろそろ撮影の時間か…

佐倉には先に現場に行くように言った

俺は楽屋に戻って、写真とネガを灰皿の中で燃やした。

燃え尽きるのを確認してから撮影現場に向う。

とにかく今は仕事だ!集中!!


今回の映画は刑事物、危険なシーンもけっこうある…

監督はスタントを使うって言ったけど、俺がどうしてもって頼み込んでできるだけスタントなしで撮影をする事に決まった…

だから、絶対にこの作品は成功させたい!そう思っていた…


今日はそんな危険なシーンの撮影だった。

俺が車から飛び出して、その後車が爆発炎上するシーンの撮影。

いつもの儀式、俺は車の運転席に座りながら目を閉じる…そして一呼吸おいて目を開ける!

よし!神経がピーン張り詰める…

「はい、準備OK!…撮影に入ります!」

「スタート!」

監督の声が響き渡る!


俺は車から飛び出す!

走って車から離れる…1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!!

ドッカーン!!

凄まじい爆発音が響き渡る!

それと同時に俺はアルファルトの上に飛ぶようにして転がる…

成功か!?

俺は車の方を振り返った!

何かがおかしい…そう思った瞬間!

ドーン!

爆音を立てて車が爆発し、破片が飛び散る!!

破片が俺の方に凄い勢いで飛んでくきた!

俺は寸前でかわした!つもりだった…

ドスッ!

鈍い音と同時に左太ももに激痛が走る!

「グアァァァァ!!!」

痛みの激しさに声を上げた!

おびただしい血がアスファルトの上に流れる。

俺はそのまま意識が薄れ、視界が狭くなって暗くなっていった…

遠くの方で俺を呼ぶ声が聞こえたような気がした…




麻未の拉致事件の写真を撮った者はいったい誰なのか?

優介に空メールを送った相手は?

爆発事故はただの事故なのだろうか?

まだ謎は沢山あります。

次回は優介の事故の真相が少しずつ見えてくる!?

金と権力の前では何もできないのだろうか…

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