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現在進行形の過去を思い出に

気にはなっていた…麻未のあの火傷の痕…ちょっとした火傷とは違っていた…。

俺に見られることを凄く嫌がってた…何かあったんだろう事はわかる…

麻未の方が話したがらない以上、俺の方から聞くことは出来ない…

それに俺だって色々な過去を持っている…その一つ一つを話していたらきりが無い…。

過去を気にしていたら、前には進めない…麻未ならそう言うな、きっと…

俺はそんな事を思いながら、ニヤニヤしていた…。

最近、一人でニヤニヤする事が増えたような気がする…麻未の影響かな…。


この前の拉致事件からそろそろ一週間になる…。

まだ犯人は捕まっていない。

あの後、麻未を家に送って、俺はすぐに撮影現場に戻って、待たせていた監督をはじめ、スタッフみんなに地面に頭をこすり付けて、謝った…

麻未の事を思えば、こんな事ぐらいたいした事ではなかった。

撮影は3時間遅れで始まった…

なんとかその日の撮影予定の半分は終えることができた…。

監督にだけは、遅れた理由を正直に話した…だからと言って撮影をすっぽかした事が許されるわけでは無い事…自分の気持ちを全部話した…。

監督は最後に俺の肩を2回ほど叩いて

「経験はそれだけ役者の幅になる…だが周りへの心遣いも忘れるな」

そう言った…その言葉がどれだけ嬉しかったか…

監督には感謝してもしたりないくらいだ…


俺は麻未の事をファンの人たちにもわかってもらいたくて、ブログに独断で告白した…。

次の日、社長と佐倉にもの凄く怒られて、マスコミにも事あるごとにインタビューされた。

とにかく凄まじい1週間だった…


やっと、やっと、麻未に会うことができる…

メールは頻繁にやり取りをしてたけど、やっぱり顔を見て話すほうが断然いいよな…


あ!麻未が出てきた…

階段を下りて、俺の車に手を振りながら近付いてくる…。

「おはよう!」

麻未はそう言って、助手席に座る

「こんなに朝早くに悪いな」

時間は午前6時…できるだけ長く会っていたい俺は早い時間に会うことを思いついた。

麻未にとっては迷惑だったかもな…。

「朝ごはん、一緒に食べるなら天気もいいし外で食べよう!」

麻未はそう言いながら持ってきた袋を揺らした

どうやら中身は手作り弁当らしい…

「どこか行きたい所は?」

俺がそう聞くと、麻未は俺の方を真剣な瞳で見つめた…

な、な、なんだよ…

「一度、どうしても行きたかった場所があるんだけど…」

麻未は少し伏せ目がちにそう言った

「どこだ?」

「…澄香さんのお墓」

その言葉に俺は言葉が出なかった…

「神楽さんが嫌なら、しょうがないんだけど…」

「理由を聞いてもいいかな?」

「神楽さんがね、もう遠くを見なくなって、目の前にいる私を見てくれるようになった…でも神楽さんの心の中にはちゃんと澄香さんが生きてるよね?だって神楽さんは今でもお墓参りに行ってるんでしょう?出来ることなら私も神楽さんと一緒に澄香さんの存在を共有できたらいいな〜って思ったんだけど…嫌ですか?」

麻未…お前ってヤツは…

俺は麻未がこうゆう考え方が出来る所が好きだ…。

澄香の存在をひっくるめて俺を見ようとしている…お前は凄いヤツだよ…

「わかった、連れて行ってやる」

俺がそう言うと、麻未は安心したような表情をして前を見た。


最初に見たときは澄香にそっくりだと思ったけど、最近は違って見えるようになった。

それはきっと持ってる雰囲気が違うからだな…

俺の中で澄香の存在が思い出になりつつある…

今ならあの事故を思い出として割り切り、受け入れることが出来るだろうか…


俺は澄香の元へと車を走らせた…。



顔は似ていても性格や持ってる雰囲気が違うと

違う人に見えますよね?

優介にとって、麻未は現在と未来

澄香は過去…だけど優介の中でその過去を思いでとして割り切ることが出来なかった

麻未の存在を切っ掛けにして、思い出にする事ができるだろうか?

次回は事故の真相…そして麻未の心が優介の傷を癒す事が出来るだろうか…


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