第十四話 「落ちもの様」
おえっ! って言われても、ねぇ。
「えーと、あのう、ここはどこでしょうか?」
「「「「はあっ?」」」」
「てめぇ! ゴラァ! 俺様のハーレムに忍び込んでおいて、『ここはどこですか?』って、んな言い訳が通じると思ってんのかゴラァ!」
え? ハーレムって言った? もしかして、この人、偉い人なんじゃ?
「あの~魔王様? この子、まだ子供みたいだし、できれば穏便に、ね♥」
「事情もつかめてないんだから、威嚇しないの❤ めっ」
「私たちが事情聴取しますから、ちょーっとだけ黙っててね♡ 魔王様」
魔王様って言った!! いきなり詰んだ! 第二の人生しゅ~りょーのお知らせ。
「あのー、つかぬ事をお聞きしますが、本当に、ここはどこであなた様はどちら様なのでしょうか?」
「あのね、ここは、魔王様の作った国、で、こちらの方が魔王様なの♡ わたし達は、魔王様の妃で、ここは、魔王城のハーレムなわけ」
「それで、君はどこからやってきたのかしら。まさか、落ちもの様ってことも無いと思うけど❤」
「えーと、僕は、地球の日本という国から神様に言われてこの世界にやってきました」
「「「! ほんとに落ちもの様なの?」」」
「はあ、この世界では落ちもの様って言うんですか? やっぱり珍しいんですか? こういう事」
「まあ、珍しいと言えば珍しいけど、そこまでではないかな? もちろん、こんな場所に落ちてくるのは、流石に前例が無いけど、あん♡ 魔王様、いたずらしないで♡」
そういえば、この人たち、まっぱのまんまだよ。目のやり場に困るなぁ。
「大事なとこを隠してるだけだ。おい、お前! 事情は分かったが、ハーレムに潜入するのは、重罪だ。普通なら極刑に処するところだというのは、日本から来たなら判るよな?」
ああ、やっぱり俺、絶望なのだろうか? ん? なぜ日本のことを知ってるんだ?
「魔王様も日本人なんだよ。落ちもの様❤」
ええええっ! この、アメプロのレスラーか、E×AILの出来損ないみたいなおっさんが日本人!?
「同郷の好で見逃してやりたいところではあるが、俺にも立場ってもんがある。てめえをしっかり罰してやらないと、てめえはともかく、国の官僚たちにしめしがつかねぇ。よって、明朝08:00に略式の裁判を行う。まあ、今晩の処は座敷牢なら貸してやるから、そこで寝てろや」
と、まあ、そういう扱いで落ち着いたらしい。まだ、来たばっかりで眠くないんだけどなぁ。
ガチャンと、牢の鍵を掛けられてしまった。仕方ない、寝てようか。zzz
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「それでは、略式裁判を行う。裁判長は俺様! 検察官はエリザベス♡ 証人はオードリィ❤ 弁護人ダイアナ♥ でお送りするぜぇ! 第1386回グリザイユ民主主義人民共和国簡易略式法廷開幕ぅ~いぇい」
「「「わーどんどんぱふばふ♡♥❤」」」
なんなんだろう、ものっそい不安になるノリなんだが。
「なーんだ。普通に民主主義国家なんじゃないですか。じゃあ安心ですね?」
「バカ言ってんじゃねーよ。だったら、こんな秘密裁判みたいな事やるかっ! この法廷の結末は決まってんだよ!」
「うわーん! 弁護人の発言を要求するー!」
「よし、ダイアナ。発言を許可する」
そう言われて証言台へと進んできた美人さんの一人。金髪ショートの犬耳ってか、キツネかな?
おっぱいおおきいなぁ。あれに窒息させられかけたんだっけ。
「は~い♥ 被告、くりすくんは、昨夜22:00に私たちと魔王様の愛の巣に忍び込み、あろうことか私のおっぱいの中で窒息死しかけました。ちっちゃくて可愛かったです。聞けば彼は〝落ちもの様〟であるとのこと。もしも、魔王様が彼を味方につけた場合、彼と魔王様双方のメリットを鑑み是非とも、和解を勧告いたしまーす」
「ふむ、まあ、妥当な案ではあるな。それだけに罪の部分を考えたら業腹だがな。では、検察官ザベス! 前へ」
「ちょっと! その略し方やめてよね! なんか、物凄くぞんざいに扱われてる気分になるのよ。昔みたいにエリ♡ って呼んでくれればいいんだからねっ!」
こちらも金髪のロングヘアがかっこ可愛い美人さんだ。しかし、ツンデレさんなんだろうか?
きっ! と、こっちを睨んだ! こわ!
「被告、栗栖 賢治を自称する賊は、突如ベッドの中にむくむくと出現し、あろうことか、ダイアナに抱き付きセクハラをしました。死刑でいいと思います」
「意義あり! それは、神様の世界から突然出現した不可抗力であり、悪意も他意もありません」
「と、被告の少年Aは頬を紅潮させ抗議したが、裁判長たる魔王には通用しない。魔王は、少年の顔をつまむと、『それがどうした! お前の運命は一生俺様の慰み者と決まってんだよ! グヘへ』 嗚呼何と恐ろしい魔王の策略……」
「「ちょっとまてぇー!!」」
魔王さまとハモっちまった。
第三の美人さん。ブルネットというのかしら? 黒髪のロングヘアーを丁寧に細い三つ編みにして、かわいいんだけど、何か、嫌なデジャブがあんですけど。具体的に言うと田舎の学校で図書委員でもないのに図書館を占拠していた文芸部の部長さん的な何か。
「オードリィ、頼むから、そういう嫌な冗談は止めてくれ!」
「魔王って、まさかそんな方向に魔王なんじゃ?」
「ちげぇぇぇぇぇっ!」
互いにぜぇはぁ言いながら牽制する俺と魔王様。絶対掘られてたまるかっ!!
「ええい! 次だ次! 罪状認否は省略! 弁護人の意見も、最初に言ったから省略! その他諸々省略で判決を言い渡す!」
いよいよか。どうなるの? 俺!
「被告人 栗栖 賢治は、十日間のダンジョン送りの後、帝都、所払いとする。尚、ダンジョン内で功績を立てた場合は、再度検討して応談とする。また、ダンジョン内で入手したものについては、その九割を罰金として毎日納めるものとする。ただし、過去の判例に従って、最低限の初期装備については、支給するものとする」
えーと、つまり、十日間の重労働とでも言うのかしら?
「「「ええええっ! きびしぃ~っ! かーわーいーそー」」」
「やかましいっ! 文句あるなら最下層スタートでもいいんだぞ! そんで、お前自身はそれでいいか? 何か、他にできることはあるか? 」
「いえ、不満はありません」
と、いうか、いきなりダンジョンって、テンション上がるわ! やっぱ、ダンジョン攻略とドラゴン退治は、冒険の花形だもんな。
「と、いうわけで、ザベス! お前の妹に連絡して、ギルドでこいつの面倒見てくれるように頼んでくれるか?」
「だから、ザベス言うなって言ってるでしょ! アンナなら、まだ早いから、昼近くにならないと出て来ないわよ」
「よし、それまでは、俺様直々にお前の装備を下賜してやろう。こっち来い! オードリィも手伝え!」
と、言うわけで宝物庫へと俺は、魔王様直々に連行されていった。朝の王宮は、意外と人の出入りが多いらしいが、気配はすれど、人とすれ違うことは殆ど無かった。
「これは、王族の導線と、使用人の導線が極力重ならないように配慮した設計だからだよ」
容姿の印象よりは、ずっと気安い感じで話しかけてくれるオードリィさんのおかげで気鬱にならずに済んだが、どうしても、豪華な場所を通るもので緊張する。
「まあ、オードリィは、元々この城の主だったからな」
「そうなの。いきなりこの男に城も財産も取り上げられたのよ! ひどいと思わないー?」
って、事は元王女? 姫?
そんな話をしてる間に宝物庫へ着いたようだ。
「じゃあ、いっちょ揉んでやりながら決めるとするか?」
「え?」
今更ながら、俺は、武器を持てないという事実を思い出した。
この作品は、内容に危険な要素が多数含まれます。
精神的疾患をお持ちの方、心身喪失状態の方、心の弱い方、特に、いじめの経験をお持ちの方にはおすすめいたしません。
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