Stage of extra
Stage of extra
(最終編予告)
カタリナの墓は質素なものだった。母が殺されたあの時の私には、すぐにジェイロードを追うことしか頭になかったからだ。ただ彼女を土に埋め、そして手頃な石を目印に置いただけだった。
此処に帰ってくるつもりはなかった。ただジェイロードの復讐に燃えていた。その後のことは何一つ考えていなかった。……あの頃の私は浅はかだった。
「母様」
久々に呼ぶその言葉に、少し気恥ずかしささえ覚える。
墓の周りには雑草が生い茂り、蔦が小さな墓石に巻き付いていた。おそらく誰1人、この下に人が眠っているとは思わないだろう。
「遅くなりました」
もしここに生前の母がいたのなら、私は何を話すのだろう。
母に嘘をついたこと、母に嘘をつかれたこと。兄に命を狙われたこと、兄を殺したこと。その後のこと……。
墓石の前に膝をつくと、頭の中から言葉が消えた。ただ、絞り出す様に呟く。
「……ルミナリィというものは、存外生きづらいものですね」
母の前では、幾分素直になれた。しかし、苦しみを吐露したのも束の間。
「それは同感だな」
再会に不似合いな言葉が場の空気を変えた。私は咄嗟にクロノスを掴み、振り返る。
その女は私のすぐ後ろに立っていた。馬鹿な、と心の中で呟く。いくら母の墓前とはいえ、人の気配くらいは分かっているつもりだ。まさかこんな近距離に接近されて気づかないはずがない。
「あなたは……!」
私はクロノスを構えたまま、ただ驚愕するしか出来なかった。
Last Story
[ missed ]
私は貴女を許さない。