「親友×新友」
はぁ……この時期はなんだかけだるいし、学校に行くのも憂鬱になる……
だって、昨日変な妖精にあってさらに変な人たちにあってさんざん殺されかけた挙句、
「そのかわり……あなたの監視をする」
おかしいよ、なんでそんなことになるんだよ。
だってボクのプライパシー無視だよ。
ボクだって聖本(エロ本)の1冊や2冊はあるんだよ。
それぐらい配慮してくれよ……
「お、あかねっち!」
「ビッグニュースがあるんやけど」
その声は……
右っかわのデカいやつは火野燃次。
髪を金に染め長い前髪をクジラのように束ね、ファッションは俗にいう不良もしくわチャラ男
外見からは想像つかないがこう見えても喧嘩には負けたことなく不良に一目置かれてる。
2つ名が確か……「荒神」(あらじん)だったっけ。最初聞いたときはディズニーみたいだなって思ったり。
で、左っかわの少し小柄の子は米良爛
細い目で見るからにおとなしそうな外見だが、そんな見た目と違い性格が明るくエセ関西弁を使う。
趣味が情報収集で学校のすべてを網羅していて、学校内の情報を売っているいわば情報屋。
すごいのは学校中あらゆところにカメラや盗聴器を置いてあり、
気になるあの子の恋愛事情から明日の学校のテストの問題まですべてを把握している。
※お金を払わないと教えてくれないが……
「で、ビッグニュースって?」
「転校生が来るんやって。しかも二人」
「それが一人が女の子でとっても美人なんだにゃ~」
今に始まったことじゃないがこの年なんだしそろそろ「にゃ~」というのをやめてほしい。
「まじで?それでもう一人は?」
「残念ながら男なんだにゃ~。しかも不良らしいにゃ~」
もう思い当たる人がいる……
(まさか……ねぇ……)
だって監視するって言ったんだよ。
そこまでしなくてもいいような気がする。
「あぁそーいや、前の写真ありがとね」
前の写真?
「何?前の写真って?」
「アハハ、前とったじゃん。罰ゲームで朱音が女装するってやつ」
「それが学校だけで販売したら、なんと……1000円も売れたんだにゃ~」
「1000円って、一枚何円?」
「ごめんだにゃ~、1万円も儲かったにゃ~。ありがとにゃ~」
な、なんだって!!!
この学校はおかしすぎる……
学校だけの販売で1万だって……
「まあ、ゆーても朱音は女の子に似てるからナー。これだけ売れるとはさすがに思わんかったけども……」
ボクはボクでとても気にしてることがある……
それは成長が遅いということだ。
そのため肩幅が狭く、声変わりしてないから女装したら女の子のような感じ?になってしまうのだ。
(……いや、待てよ……何か忘れてるような……)
「これ分け前分の3000円な、また今度もたのむぜい」
(これだけ赤っ恥かいて3000円…………)
「お前らの血は何色だ!!!」
「「やばい、キレた」んだにゃ~」
奴らをボコボコにしたあげく、「プラス1000円するから堪忍してや~」っていうから許してやった。
何はともあれ?…………ボクの女装写真が1万で売れたっていうことは……
学校でやばいことになる。
急いで学校に行き、いろんなとこを見て回った。
自分の女装写真がないのを確認し自教室に戻る。
(な、なんだぁ。ハッタリかぁ……)
安堵の息を漏らしつつカバンを片付ける。
「アハハ、これがガッコってゆーんだ。ボロッちい机、キャハハ。ここなんかより朱音んちのほうがよっぽど落ち着くね」
「うんうん、まったくその通り……って、エッー!!!」
しまった、コイツを学校に連れてきてしまうとは……
「(お前、こんなとこついてきて大丈夫なのか?)」
「うん、大丈夫だよ。だって普通の人にはあたし達の姿は見えないから」
遠まわしにボクは変だと聞こえるのだが……
「まぁ、朱音みたいに変なやつに当たるとちょっとやばいかも。アハハ」
ムカツクので一発ゲンコツをかます。
「いたい……いたいんだよぉ……」
ったく……こいつのせいで昨日はえらい目にあったのに……
(そーいや、昨日のことで結構疲れたかも。少し仮眠でもとるか)
そうして深い眠りにつく。
(あれ、いつの間に寝ちゃったんだろう……まぁいっか)
あたりを見回すとまだ朝の会。
そんなに寝れなかったらしい。
「じゃあこれより転校生の紹介をしますね」
よっしゃー、待ってました……というのは他の生徒の声でボクだけは転校生の歓迎できなかった。
(どーせあの二人だから)
「でもなんでこんな時期なんだろうな」
「確か、うちの学園って一回受験しなきゃいけないだろ」
「まぁ、そんなことをよくね。噂によると一人はメッチャ美人らしいし」
うかつだった。
うちの学校、いや学園は進学校で小等部、中等部、高等部……とある。
だから、いきなりこっちの世界に来たうえに受験して、しかも合格。さらには入学。
なんてことは短期間でできるわけがないのだ。
(そうだ、そんなわけはない)
「さぁ二人ともはいってきなさい」
先生の声とともに二人が教室に入ってくる。
(どんな子なんだろう。一人は美人で一人は不良……気になるなぁ~)
期待と不安と焦りを感じつつ、入ってくるのを待つ。
おっ、入ってきた。
あれ?どっかで見たことある顔だな……
「宇奈原七海って言います。これからよろしくお願いします」
「ちーっす、斬火雄竜樹でーす。えっと……よろしくだけでいいのかな」
なんで?
もうわけがわからなくなってきた。
監視するだけなのにわざわざこの学校、いや学園に入学してきて
なんでだよおおお。
「ん~やっぱ美人だにゃ~。ってなんであかねっちそんなに涙目なわけ?」
とりあえず、お前にも『鍵』とかっていう妖精を見えるようにしてみろよ。
そしたら涙のわけがわかるよ。
「とりあえず二人とも空いてる席に座ってね」
遠のく精神の中、先生の声が聞こえた。
見渡す限り、空いてる席などない。
ボクの席の後ろと横以外は……
「ラッキーやんか、いきなり美人の子と隣なんて」
「いいにゃ~、いいにゃ~」
う~ん、この二人をどうやって地獄に叩きのめそう……
「おはよう、赤星朱音……くん、でいいよね。これからよろしく」
と同時にルーズリーフを落とす。
「ごめんなさい、赤星くん。それ拾って」
ん?これのことだよね。ってなんか書いてある。
『昨日のことを誰かに言ったら殺す』
「大丈夫……誰にも言ってないから……」
「ん?おかしな人?」
と、とりあえず次の授業の用意をする。
「あ、二人ともこの学校のこと分からないでしょ。だから次の時間はあなたたちだけ校内見学だから」
さすが校風が自由なだけある。
生徒の一時間をつぶしてまさか校内見学に使うとは。
そういうことで1時間目
ボクらは普通の授業、転校生は1時間つぶして学校紹介。
「いいにゃ~、いいにゃ~。転校生は校内見学なんてにゃ~」
前の席がうるさい。これじゃあ授業に集中できない。
「う~ん、あかね、ねえったら、おなかすいた」
机の上がうるさい。授業にすら集中できない。
「いいにゃ~、いいにゃ~」
「おなかすいたー」
「うるさーい」
教室に鳴り響いた怒号……になるわけはなく。
ファインにはげんこつ、燃次にはシャ-ペンの芯を突き刺した。
で、こっからどうしよう……
というのも、昨日いろいろ話されたからなぁ~
鍵や裏やセレクトのこと、それに彼らのこと。
昨日聞いたことは誰にも言わないって約束で……
(っていっても誰も信じてくれるとは思わないんだが)
そんなこんなで頭の中はそれでいっぱい。
だってヘタしたらファインはそれらのことでいなくなるし……
(ファインはそのことをどう思ってるんだろう……)
ふと下を見ると、あれ?なんでいないの?
机の中を見てみると……やっぱしいない。
どこにいったのか……まさか、奴らにとらわれたんじゃ……
「せんせー、お腹痛いんで保健室行っていいですか?」
「それぐらい我慢しなさい」
ひどすぎる……
いくら先生だからってお腹痛い(ホントは痛くないが)生徒に我慢しろって……
ん?なんか思いついた。
「センセー、トイレに行ってもいいですか?」
「そんなに私の授業がつまらんのかね?」
絶対ミスったよね。だって先トイレだよね。
仕方がない……最終手段使うか……
「ん?誰だねこの紙は?誰が投げ捨てたんだ?」
振り返った瞬間にはボクの姿がなかった。
まぁ教室抜けるくらいなんて来ないんだけどね。
廊下をダッシュで駆け巡る。ボクを邪魔する奴はいな……いこともなかった。
「貴様、授業中に教室を抜け出して何事だ!」
チッ!しかもよりによって生徒指導とは……
まぁ運よく生徒指導は新入り、学校のすべてを把握してるわけがない。
逆にボクはこの学園に8年(中等部の校舎は1年だけどね)いる古株だぞ。
◆◇◆◇◆◇
何とか逃げ切った……まさか1時間目のうち残り半分使っちゃうとは……
流石に10分間も追いかけっこはしんどい。
そんなことよりまずはアイツらを探さないと、
「次ぎまわるとこは委員長の家ですよね……って痛い痛い……関節はそんな方向に曲がらないから……」
聞いたことある声、
恐る恐る壁に隠れつつ覗いてみる。
「そんなことより帰りいっしょに買い物しません?もちろん俺と二人で……って打撃攻撃まぁまぁキクからさ……」
見るとビックら仰天!なんとあの竜樹くんがナンパをしてるではないか。
まさか彼はたらしなのかなぁ~?
そしてなんか言うたびに宇奈原さんがトドメをさしていく。
……っは、いっけね。本来の目的忘れてた。
でもどうやって聞き出そう……。
「あぁぁぁぁ、ちょっとわり、トイレ行ってくるわ」
「ならトイレの場所教えますね、宇奈原さんも用ありますか?」
「あ、ここで待ってるわ」
わぁ、ボクの運ってけっこーすっげー。
まるでボクの気持ちを察してくれたかのように消えちゃった。
「宇奈原さん、ちょっといい?」
「?」
「あのさ、ファインのことなんだけどまさか捕らえたりはしてないよね?」
「え?まさか、いなくなったとか?」
「ア、アハハ、そんなことないじゃないか。アハハ」
やばいよ……バレちまってる。
「と、とりあえず、じゃね」
風のように去った後、いったん考える。
(ヒマだったんだよな、確かに学校なんて面白くないもんな。いや待てよ、ヒマだし確か腹減ったとか言ってたから……)
急いである場所へと向かう。
◆◇◆◇◆◇
(やっぱここにお邪魔するのは無理があったかなぁ)
というのもボクの前に立ちはだかるのは「調理室」
まぁ一時間目なんだし給食受室はないとしてご飯を食べれるところってここしかないもんね。
そんでもって少し確認
(マジでいんのかな……てかいたらいたで嫌だな)
仮にも授業中、調理してるのがいくら後輩だからってそこは遠慮がちになってしまう。というより授業中こんなことしているボクもどうかなと思うのだが。
少し覗いてみると、
「ねぇ男子、せっかく作ったのに全員分の魚食べたでしょ」
「いや、俺たちじゃねえって」
「嘘よ、私たちは料理してたのにあんたらは何もしてなかったじゃない」
「だったらどこに証拠があるんだよ」
うっわぁ……正直言って修羅場じゃん……しかもよりによって本人きずかれずになんかほおばってるし。
逆にこれならばれないんじゃ……
ドアをそーっとあける。
ガタンっという鈍い音、
ちょうどドアの近くにあった調味料が何かしらの原因でおってしまったらしい。
(最悪だー)
「あの、なんかようですか?」
家庭科の先生に聞かれる。
「えっと、前に使ったときシャーペン落としちゃって」
苦しい言い訳
「えっと確か落し物は……ちょっと待っててくださいね」
え?いいんだ。シャーペン探して教室で手もいいんだ。
とりあえず先生がいなくなったからファインをわしづかみにして帰る。
まぁ帰るといっても屋上に行くんだけど……
◆◇◆◇◆◇
「はぁ、ホントお前ってやつは」
「ゴメンねあかね。お腹すいちゃって、テヘヘ」
「どんだけ心配させたことやら」
う~ん、今日は久しぶりに動いたしなんだか眠くなってきた。
(今からヒマだし屋上で寝るとしますか)
ぐったりしながら建物の陰に入り寝るところを確保。
いざ夢の中へ。
ピンポンパンポン
『授業中失礼します。赤星朱音。今すぐ職員室へ来い』
「なぁ、ファイン……」
「……うん?なんだよぉ、あたしも眠たいのに。ふぁ~あ」
「ちょっとの間、そこで待っててくれ」
決意のこもった目でいざ職員室……いや生徒指導室へ