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掴め!?幸運のラッキービッグ《1》

爽やかな朝の空気を満喫しながら、オレは食堂っぽいとこへ足取りも軽くやってきた。(メイドさんとは入口で別れた)

朝食のいい匂いがしてきて腹が鳴りそうだ。


テーブルの適当な所へ座ると、深沢が室内に入ってくるのが見えたので声をかける。


「はよー」


「…おはよう、高崎」


あれ?なんだか深沢、ちょっと不機嫌っぽい。


「フロにでも入ってきたのか?頭、濡れてる」


気づかないふりで話しかけてみる。


「頭じゃなくて、髪でしょ?」


苦笑しながら深沢は答える。……気のせいだったかな?


「朝練して汚れたから、少し浴びてきたの」


そう言いつつ、深沢は濡れた髪を一撫でする。

それだけで濡れた髪はさらりと乾いた。

魔法かな?


(いーな〜オレも魔法使えるようになるかな?)


こちらの世界の住人になったのだから、魔力は増えていく……はず。魔法も使えるようになるはずだけど……


(というか魔法の使い方知らないけど。呪文は必要じゃないのか?今、深沢なにも言わなかったよな?)


……いや、魔法の使い方よりも先に言葉を覚えよう。

深沢がいなくなったら、誰にも通訳してもらえないのだから。


「高崎は今日はどうする?」


テーブルに並べられていく豪勢な食事を見つつ、深沢が問い掛ける。


「どうって…ん〜どうするかな〜。深沢は?」


いやしかし、こんなに朝からたくさん食べるのか?

すごい品数だけど…

オレなら食べるけどさ?

食べるさもちろん。

だって昨日は全部吐いちゃったしな〜


さて、今日は味はするのかな?


……………

……………………


(おおおぉっウマいっっ!すげーうまい!)


昨日の食事とあまりにも違う味に感動を覚える。

これはこの世界に受け入れてもらえた証拠なのだろうか?

…よくわからんが、そういうことにしておこう。


「私は、今日は魔王退治に一緒に行く人たちを決める大会があるから…それを見に行く」


大会?…運動会みたいなもんか?


「高崎も見に行く?」


あまり乗り気じゃない様子で深沢が聞いてくる。


「大会って何をするんだ?」


「さぁ?確か、何かを探す…宝探し?みたいなのだったような…」


…ホントに興味ないんだな、深沢。


「それってオレも参加できる?」


「高崎は最初からメンバーだよ?別に参加しなくても…」


ん〜…オレが魔王退治?

別についていくメリットなんてないと思うけど…

そんなことより、こちらの世界に早く馴染みたい。


「魔王退治はオレ不参加ってことで!…今日の大会とかは何かおもしろそうかもだし参加してみたい」


というより、こちらの世界の人たちと無理やりにでも交流して言葉を少しでも覚えたい。


「おもしろそう…かも?」

「どんなのかわかんないんだし。かも、だろ?」


オレがそう言うと、深沢はなにやら考え込みはじめた。


「ていうか。選ぶ基準ってなに?深沢が選ぶんだろ?」


そう言ったとたん、深沢は明らかに目線を逸らした。

やはり不機嫌なようだ。


「選ぶのは私じゃない。金髪少女たちが、何かを探して持ってこれた人の中から選ぶらしい」


…深沢、あの金髪美少女の名前知らないのか?(オレも知らないけどさ)


「…それってさ、なんか嫌じゃない?一緒に行くのは深沢なんだろ?だったら深沢が気に入るヤツ選んだほうが楽しいんじゃね?」


オレだったら嫌だ。それって堂々と監視をつけられてるみたいで。

まぁ金髪美少女は人が良さそうだからそんなつもりはないんだろうけど。


「私が選ぶといっても…どういう人たちを選べばいいのかわからないし…」


まぁ確かに…

それを理由に選ばせてはもらえないかもしれない。

でも多分、今日の大会は参加資格とかあるだろうし。まったく使えないやつが参加してるはずないだろうし。

というか、たとえ素人でも、深沢がいれば何の問題もないと思うけど……

だってチートな勇者だし。


「そんなの深く考えるなよ。深沢が一緒にいて楽しめそうなやつを探せばいいだろ?」


「……うん」


深沢が消極的に頷く。

どうせ選んでも却下されると思ってるのかもしれない。


「何人選ばれる予定なんだ?その人数だけ深沢が選んで、それ以外は脱落させればいいだろ?」


「…脱落させる?」


「そう。ゴールしないように妨害すれば?深沢なら出来るだろ。せっかくの能力なんだから使わないと損だぜ?」


なにも真っ当にやる必要なんてない。邪魔をすればいい。ゴールにたどり着かないように。

自分の選んだやつだけが、そこへ辿り着けるように工作すればいい。

………というようなことを深沢が思ったのかは確かじゃないけど、その瞳に強い想いが宿る。


「バレたら一緒に謝ってくれる?」


いたずらを仕掛ける前の楽しそうな笑顔で深沢が聞いてくる。

その顔を見るかぎり、バレずにやる自信があるようだ。

だからオレも同じように笑って答える。


「バレなきゃいいんだろ?」






おぉ、なんか楽しくなってきたな!

何を探すのかはわかんないけど、いろんな人とたくさん交流できたらいいな〜。

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