私の小説は子供の絵のように輝いているだろうか。
こんにちは〜。
江古左だりで〜す。GW楽しんでますか〜!?
え? 私? 公園だよ公園公園。子持ちにゴールデンも何も無いんだよ。1年中チャイルドウィークだよ。公園渡り鳥だよ!
それで体は拘束されてますけど、脳は暇なのでエッセイをしたためております。
我が家の本棚には絵が2枚。セロハンテープで貼り付けてある。
2枚とも電車の絵。画用紙に色鉛筆。
びっしりと電車の特徴が描き込まれていて『鉄おも!(鉄道キッズ御用達雑誌)』なら1発採用されるであろう出来だ。
子供の友達Rくんがプレゼントしてくれた絵である。やはり電車好きな我が子は大喜び。2枚とも本棚の側面に貼り付けた。
掃除中にはがれ落ちてしまったので拾った。そしてしげしげみた。
Rくん。君。電車好きなんだねぇ。
これは電車をよく見ないと描けない。誰に言われたわけでもなく熱中して描いたのだろう。Rくんの情熱がほとばしっている。
そうは言っても小学生の絵だから、売れるわけではない。
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『RTした小説を読みに行く』
ご存じだろうか?
Twitterではしばし見受けられる『小説を紹介してください読みたいです』という企画だ。
最初見た時は面食らった。
ただでも人の小説を読むというのは骨が折れる作業なのだ。好きでもないキャラクター。好きでもない話の展開。絶望的なラスト。よくある。
だったらランキングを眺めて題名から『好きそうなもの』を探した方が楽だし好みの物に当たる確率も高い。
なのになぜわざわざ募集してまで、苦行に突入するような真似をするのであろうか。
作家同士の交流や、自分が選ばない新しい小説に出会える可能性があるから(らしい)
そこに応募されてたのをたまたま読んだ。
なぜ読んだのかというと『自信作です』と書いてあったからだ。そもそも応募要項自体が『作品内容に自信のある人』だったので『これは期待持てるかも……』とちょっと思っちゃったんですよね。
読んでみてひっくり返った。
小説として良い・悪いの前に日本語になっていなかった。
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ある日川に洗濯に行ったところ、洗濯するのはたらいと洗濯板を持っていくわけであるが、この洗濯板は昨年の秋口に街へ出た時に買い求めたわけであるが、その買い求めた店の店主は78才老人であるが、まだ矍鑠としていて、『この洗濯板はお値打ち品ですよ』と言われたわけであるが……
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こんな文章だったのだ。
句読点いくつつけるねん!!!!!
話の本筋なんやねん!!!!!
『どこからわいたのだろうその自信』と思いながらポイントを見た。
あ〜〜〜。まあ……そうですよね……。
感想欄を見た。やはり残念なことにほぼ書かれていない。
ところが、ここで私は再び驚いた。
1人、すごい熱心に感想を書いている人がいる。
仮に小説を書いた人がAさん。読者がBさんとしよう。
Bさんは何行にも渡って、いかにこの小説が面白いか、続きを待ち望んでいるか、読みながら感じた疑問点について熱心につづっていた。
作者Aさんも、それに負けないくらい長い感謝の気持ちとBさんの疑問点への回答を書いている。
それが何往復もず〜〜〜〜っと続いているのだ。
あたかも、Bさん1人のために書かれた小説みたい。
私はこのやりとりに感動した。『Aさんは幸せな作者だなぁ』と思った。
例えば作者Aさんが沖縄生まれ、50歳だったとする。
読者Bさんは北海道生まれ、やはり50歳だったとする。
50年間、2人は何の接点もなく別々の人生を送ってきた。本来であれば小説を読むような仲にはなれないはず。
しかし『インターネット』が2人を結びつけ、今こんな素敵な交流が続いている……。
そんなことを想像して感動した。
私は3行以上読めなかったけど(目が滑っちゃって)Bさんにとっては紛れもなく傑作なのだった。
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Bさんにとって、Aさんの小説はRくんの絵みたいだ。
残念ながら売り物にはならないけれど、息子の心を何より明るくしたRくんの絵のように、Bさんの心を幸せでいっぱいにしているのだ。
それも創作物として1つのあり方だなぁと思った。
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『小説家になろう』と一口にいっても、いろんな人たちの集まりだ。
ある集団は『書籍化』だけを見ている。
最大公約数の『読者受け』を考え工夫している。
題名にタグにあらすじに投稿回数にしのぎを削り、感想欄も閉じて、誰の小説も読まずブックマークもしない。
ストイックに『書くこと』に特化している。
ある集団はコミュニケーションを中心にしている。書くことで誰かと繋がる。ゆるいSNSみたいだ。
ある人はたった1人のために小説を書いている。濃密で幸せな関係がそこにある。
ある人は真夜中の誰も通らない道を、1人歌い続けている。書くことが何よりの『報酬』だからポイントや感想は二の次なのだ。
実際はこの間に無数のグラデーションがあって、200万人登録者がいるなら、200万のあり方がある。
『どのあり方も素敵だなぁ』と思う。
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私は絵をセロハンテープで再び貼り付けた。
このRくんの絵だって、いつかはヨレヨレになってゴミ箱に捨てられてしまうだろう。
しょうがないね。ほとんどの創作物は1000年を生きられないんだよ。
『Rくん。君、絵、うまいねえ』
何より電車が好きで、それを絵で表現するのが好きなんだねぇ。
私は腕組みをしてしばらく2枚の絵を眺めやった。
私の小説は、Rくんの絵のように輝いているだろうか?
たった1人でも誰かの心を隅々まで明るく照らしているだろうか?
お読みいただきありがとうございました!
❇︎例文としてあげたものは私がAさんの文章を思い出しながらエッセンスを再構築しました(Aさんの名前も当該小説も忘れてしまった)
【5月8日題名を変更しました】
『私の小説はGくんの絵のように輝いているだろうか。』から『私の小説は子供の絵のように輝いているだろうか。』に題名変更しました。
何も考えずお子さんを『Gくん』と書いてしまったのですが、どうも虫の方を想像させてしまったらしく……。すみません。
併せて、登場人物『Gくん』を『Rくん』に変更しました。子供の名前に深い意味はないです。WくんでもSくんでもQくんでも本名でさえなければ何でもいいです。
【2022年5月7日初稿】
⭐︎⭐︎日間2位。週間14位。月間33位。四半期92位⭐︎⭐︎