第2話 箱舟計画
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2028年 衆議院議会
「国民の税金の無駄使いをやめろお」「政府はそんなものを作って何をするつもりなんだ」「我が国に作るような余裕なんてないぞ」
計画に反発する野党議員によるの野次が飛び交うなか、衆議院議員長により採択されていく。
「海上都市建設計画は賛成多数により承認されました」
相変わらず野党議員による野次が飛び交っているがそれを打ち消すような大きさの拍手が与党議員席が鳴り響くのであった。
海上都市建設計画。通称箱舟計画は衆議院内では465人中324人賛成と反対派に圧倒的大差をつけて採択されたものも、国民から人気は低いものであった。それはそのはず海上都市とかいう得体の知らないものに数十兆もの国民の税金を使われるのであるのだから、たまったもんじゃなかった。
当たり前ではあったが次の選挙で与党は大敗し政権交代はなんとか免れたもものも与党にとってつらい情勢が十年近く続くことになるのであった。それまで特段不祥事もなく、国民からの人気もそこそこあった当時の政権がなぜ突然箱舟計画を推進したのかは今でも謎である。
とはいえ数十年もの長い年月をかけ箱舟計画は完成し1つの海上都市が誕生することとなる。
2044年海上都市ほうらいは完成された。
全長14,6km全幅4,2kmと前例の無い大きさであり約54万人が暮らすことができる。客船のように決して広く無い部屋が通路の中にいくつもの部屋が無機質に並んでいるというわけではく、海上都市と名乗ってるだけあって都市内にはマンションにスーパー,デパート,映画館など商業施設が充実している。
ただその大きさゆえに港湾で建設することは不可能であり、相模湾沖合にて建設された。2万もの企業が建造に関わり、44兆円もの多額の費用をかけられた。様々な技術的問題に阻まれたが技術進歩もあり長い年月をかけそれらの問題を乗り越え完成された。
海上都市ほうらい原子力エンジンを搭載しており海上を航行することが可能であった。海底資源採掘,海洋研究などに期待されており数年もの間補給なしで航行できるように設計された。都市内には農業プラントや、工業区画など通常船には決して載せないような物がいろいろと搭載されていた。なにより異常なのはほうらい内に自衛隊基地があることだろう。それも陸自1師団に何機ものヘリコプターに航空機、8隻とはいえフリゲート艦すらほうらい内に存在する。
2044年に完成されたほうらういは半年間の試験航行を終え、2045年末に住民を乗せ航海を始めるのであった。
2046年1月 54万もの人を乗せたほうらいは消えた。
痕跡など全くなく神隠しにあったようであった。
「ほうらいはフィリピン海東部にて巨大台風と直撃しました。本都市は進路を変更し、台風から離脱する予定です。台風により,以後数日間通信不安定になることが予測されます」
と通信を残した後ほうらいは消息をたったのであった。
当たり前だが国際問題へと発展した。
自国の威信をかけて作られたほうらいが行方不明になったと言われた日本政府は呆然とし、全力で捜索を行うのであった。
海から,空から果てには潜水艦まで使ってほうらいの捜索を行ったが、人ひとり,瓦礫一つさえ見つからなかったのだ。
そもそもほうらいは台風ごときで沈没するようなやわな設計をしていない。もし他国の攻撃をうけて紫雲だとしても、何一つほうらいの物が見つからないのはありえなかった。
日本政府はどうしてほうらいが消失したのかまったく究明ができなかった。「超常現象のせいだ」と言えるわけなく。そんなわけないとわかっていながらも「巨大台風によってほうらいは沈没したのでしょう」と日本国民に対しあいまいな発言しかしなかったのだ。
ただそんなので国民の怒りを納められるわけなかった。
「税金の無駄遣い」「そんなものを作って何をするんだ」などそもそもほうらい建設には多くの批判が集まっていた。ただ人口減少が止まらず、経済大国日本の時代は終わったなど揶揄られているなか世界最大の海上都市を日本が建設したことは多くの日本国民精神的支えになっており、まだまだ日本は生きてるぞとうれしくおもっていたのだ。
そんななかほうらい消失は日本国民を失望させた。いつまでたってもなぜほうらいが消失したのか原因を究明できない日本政府に対し多くの日本国民は憤った。
時季外れの台風が突如出現しほうらいを飲み込んだ。そしてほうらいは台風と共に消えさったのだ。ほうらい消失に日本政府の非がないのは日本国民もわかっていた。だからって「人類が予知できない超常現象がおきたからしょうがないね」と片付けられるわけなかった。
失ったものが多すぎたのだ莫大な時間,税金,リソースそして54万にもの日本人。
結果次の選挙で与党は大敗した。与党は入れ替わり政権交代行われた。
ただ政権が入れ替わっただけで、日本がよくなくなるわけではない。日本はつらい未来を歩み始めるのであった。
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