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第1話 海上都市ほうらい

本都市はフィリピン海東部にて史上稀に見る巨大台風に襲われています。危険ですので住民の皆さんは決して屋外に出ないでください。」


海上都市ほうらい内では緊急事態を伝える放送が断続的に住民に流されていた。


「現在最重要区画及び重要区画の閉鎖を行っています。対象地域はA~Eブロックです。住民の皆さん対象地域に入らないようにお願いします」


安全を期すため、原子力エンジン,自衛隊施設,主要工業地域など、重要区域の閉鎖が行われた。それぞれの区域は分厚い鉄のシャッターによって区切られ一部の関係者を除き、民間人は区域間の移動は行えなくなった。


ただ厳しい措置が取られていたからでそこまでX自体が危険な状態というわけではない。


普通の船では高潮に襲われて転覆する危険性のある台風であったが、船とはくらべものにならないほど大きいほうらいは地球上で発生しうる大抵の気象現象に耐えられるように設計されていた。


とはいえ屋外部では大量の雨と波が降り注いでおり滑りやすく大変危険な状態であった。実際運悪く屋外にいてけがをした人が病院に運び込まれたものも20人にも満たない数であり、重傷者はいなかった。


航行できるのだから台風を避けられなかったかと言われるとそれは難しいものがある。年間を通して最も台風の起きにくい1月に突如発生し、瞬く間に大勢力になった台風がフィリピン海へと北進されれば、最高速度で20ノットであり巡航速度が14ノット程度のXが避けることなど不可能であった。


巨大台風に直撃したXには嵐が吹きあられ,波が押し寄せ,いくつもの雷が降り注ぐのであった。


ほうらいは台風から脱出するため南進をしていたのだが実際には最も風の強い台風の中央部へと少しずつ流されていた。


台風に直撃してから2日目には台風の目から約3kmとかなり接近しており風速80mをも超えている。


ほうらいの中では何人もの小さな子供泣き叫んでいたのだが、常になり続ける雷鳴によって打ち消されていた。


ただある一回を境に落雷がおきなくなるのであった。


雨,波がほうらいに打ち付ける音が響き渡る中、少ない数の人間がほうらい頭上に果てしなく広がる黒雲が黄色く光り始めたことに気づく。


落雷が全く起きなくなってから数分後、まるで雲が集めたエネルギーを一点に放出するように今まで見たことないような巨大な雷がほうらいへと直撃するのであった。


「被害状況を確認せよ」ほうらい市長岩川が命令する。


「自衛隊基地異常なし」「原子力エンジン問題なく動いてます」報告が中央センターで飛びかう。


「台風がなくなりました。一面晴れです。雲一つ見えません」一つの報告が岩川の耳に入る。


「どういうことだ、台風の目に入ったのではないのか」


「全く分かりません、もし台風の目に入ったとしても周囲に全く雲が見えないのはおかしいです」


「とはいえ台風が晴れたんだ本国に確認しろ」


「ダメです衛星通信ができません」




ほうらい市中央センターは2時間以上をかけ損害確認を行ったが衛星通信が使えずgpsが機能していないということ以外問題は見つからなかった。


通信設備が壊れたのではと思われたが異常があるようには見えず、まるで衛星ごとなくなったように表示せれるのであった。


不審に思った岩川は米軍フィリピン基地に寄港することを決定する。



「そろそろルソン島が見えてもいい頃だと思うが、どうだ見つかったか」岩川が聞く。


gpsが使えなくなって現在位置が分からなくなっていたが、ほうらいは予測位置を割り出し航行していた。


「ダメです見つかりません」


「陸自さんに頼んでヘリを出させてもらえ」


ほうらい都市内には軍事,調査目的のヘリ合わせて50機以上が搭載されている全て自衛隊が一括管理している。

ルソン島捜索のため8機の民間ヘリコプターが洋上へと飛び立った。都市自体移動しながらルソン島捜索を数日間行ない続けたが見つかることはなかった、衛星通信がつながることはなかった。


ルソン島が見つかることはなかったがほうらい西を捜索を続けていたヘリが


「機長あちらに見える島今までのよりけっこう大きくないですか」カメラをぶら下げた調査員が聞く。


「確かにかなりでかい島だな、ただ予測位置にそこにでかい島はあるはずないのだが。まあいいとりあえずいってるか」


うみかぜ型ヘリ7番機やまかぜは交通量の多い南シナ海に行けば民間船と接触できるのではとルソン島の予測位置からかなり外れていたところを航行していた。



通称X島はほうらいの西300kmに発見される。


大きさがかなりあるようで比較的航続距離のヘリコプターでは島の全周を確認することができなかった。


ほうらいの西300kmに地図にかかれるような大きさの島があるということはありえないことであった。


 そして最も重要なのは謎の島Xには文明が存在したことである。


中世程度の文明レベルであったとはいえ本国との通信が取れない以上、文明との接触はなにが起きてるのか知る手がかかりになると考えられた。


ほうらい市長岩川はX島の文明との接触を決断した。


謎文明接触を決断してからも数日間にわたってヘリコプターによる民間船,ルソン島の探索が行われたが結局見つかることはなかった。


それはそのはずほうらいは地球からすでに消滅していたのである。




2046年1月某日ほうらいは違う世界へと旅立っていた。



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