表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

すっかり安心していたというのに

 

 メアリには前回の記憶が残っていない。


 それはルカにとって嬉しい誤算だった。


 前の人生のメアリだってもちろん好きだったけれど、今回は格別だ。


 伯爵家を通してでないルカを見てくれたのは今回のメアリが初めてだったのだ。

  

 あの可愛らしい表情を思い出してルカは悶えた。きっと何度でも彼女を好きになれる、と。





 時は流れ、学園の入学の時が訪れた。ルカはあくまで自然にメアリに近づくつもりだった。


 メアリが七時三十分ごろ校門を横切るのが分かっていたので、時間を合わせて登校する。


 メアリの姿を目で探すと信じられない光景が広がっていた。




(は?)




 レオ・ギルベルトだ。


 メアリの幼馴染、レオ・ギルベルトがメアリにまとわりつき、あろうことかメアリも笑顔で……二人並んで仲良くおしゃべりしながら歩いてくる。


 濡れ羽色の黒髪をもつレオ・ギルベルトはあかつきのようなだいだいの目を恋情に染め、ぺらぺらとなにやらまくしたててはメアリの笑いをさそっていた。


 メアリはひどく嬉しそうで二人の間には親密な空気が漂っている。




(はああああ?)




 なんということだ。すっかり安心していたというのに。


 ルカが呆然ぼうぜんとして足を止めていると、ルカの友人ジョー・マーカスがやれやれといった様子で肩をすくめた。

 

「ルカは意外と不器用なんですね。声をかけにいかないんですか」


「いや……どうしたものかな」


 ルカはぴきぴきと引きつった笑顔でジョーの方をゆっくり振り向いた。


 彼の鉄壁の仮面が崩れるのはわずかでも珍しい。





(ああ、なんてことだ!)






 ルカは天を仰いだのだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ