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そうだった。なぜ忘れていたのだろう!


 ルカ・ハニエルはその日家に帰るとすぐに計画を練った。新品のノートを取り出すとこれから起こるであろう事柄を書き留めていく。



 ・外出時の馬車が賊に襲撃され、護衛パトラが重症全治二週間の入院。パトラに逃がされた自分はオードレット通り四丁目の住宅街の一角で身を隠しているときにメアリと出会う。メアリに馬車で自宅に送ってもらう。メアリに暴言を吐く。


(たしかメアリに向かって「襲撃された賊はお前の差し金か」くらいのことは言ったな。……最悪だ)

 

 ルカは頭をかかえた。あのときの自分を殴り倒したいくらいである。


 なおもノートにペンを走らせる。


 ・学園に入学するまでにメアリの馬車の家紋から彼女がジェーン家と特定。諜報ちょうほう部隊を通じてジェーン家の内部調査をする。ジェーン家と賊との関係性なしが判明する。


 ・ルカの護衛パトラの目撃証言と、現場に残った遺留品、使われた凶器の型番から割り出された販路、購入した人物を追って、叔父との関係性が明らかになり、黒幕が叔父だと判明。


(ここは未来がわかっていれば事前に対策がとれるな)



 ・メアリ本人とは、その後学園入学まで関わりなし。ジェーン家とは、襲撃事件のお礼をかねて親同士が特産品などのやり取りを細々と行う程度の仲。


 ・入学して一か月後の五月中旬、放課後、第二校舎裏の花壇かだんの前にてメアリに告白される。友達からと言って付き合う。




 ・メアリの幼馴染のレオ・ギルベルトがメアリに告白する。



…………



 そこまで書き出したところで、ぱきっと筆記具に力が入った。



(そうだった。なぜ忘れていたのだろう!)



 ルカは自分の襲撃事件というおぞましい未来のことよりも気にかかることがあった。



(メアリの幼馴染……! レオ・ギルベルトは今この瞬間さえメアリのすぐ近く(メアリの領地の隣の領地)で息を吸っているのだ。メアリを幼少期から視姦しかんし、あまつさえ告白しようとする害虫がこれからすくすくと成長していくのをただ手をこまねいているわけにはいかない!)



 レオ・ギルベルトは純情、清廉せいれんな人物だった。前回の人生でもレオ・ギルベルトに対して諜報ちょうほうの網をめぐらせ、後ろ暗いところがないかををさんざん調べたのだが、彼の父親、ギルベルト伯爵もまた清廉せいれんな人物であり、やましいところが一切なかったのだ。



(メアリに近づかれるまえにレオ・ギルベルトに婚約者を作らせるように手を打たないと!)



 レオ・ギルベルトは一途な性格の人物だ。婚約者がいる身でおいそれと他の女に手を出すとは考えづらい。 



 ルカ・ハニエルはひっそりと策略を練った。



 メアリとレオを引き離し、別方面では叔父も失脚させつつ、一刻も早くメアリと自然な形で出会わなくては。



(忙しくなりそうだ)


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