第一章 真っ赤に恥じる恋
ねえ、ナツ。私あなたの為ならなんだってする。
そんなことだってやってみせる。
そう思ってたのにね。
「と、いうわけで今回事務所でアイドル部門を作ることになった。資金の援助はするがこれからアイドルのプロディーサーを育てるわけにはいかない。予算的にな。なので君たちにお願いしたい。」
「わ、私たちですか?」
これが始まりで終わり。
陳腐でしょ?
なあ、ビール少ないんだけど?
その一言をつぶやいてから、ナツはとても不機嫌だった。
「おい、飯は?」
「う、うん!パン焼いたよ!」
「おう、いただきます。」
ああ、こういうどんな時でも礼儀正しいナツのことが好きだ。
「ごちそうさん。」
「うん!今日はどうするの?」
「あー、町でいろいろ見てくる。」
「ならお小遣いいるかな?」
「おう、頼むわ。」
「一万?二万?」
「五千でいいよ。」
「嘘!そんな少ないんんじゃ心配!」
私は取りあえず三万円を財布に入れた。
「はあ、お前のそういうとこうぜえなあ。」
「ご、ごめん。」
「はあ、仕事の時間もうすぐじゃねえか?」
「あっ、ほんとだ!」
「おめえのその微妙な容姿で稼げるのかよ。」
「な、何とかね?そ、それならナツは……私のどこが好きなの?」
「全部統括して四捨五入してトントンですべてだよ。」
嬉しいなあ、いつだって好きって聞いたらすべてが好きだなんて!
「じゃあ行ってくるね!ナツ!」
「行ってらっしゃい。」