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エピローグ

 

 

 キーンコーンカーンコーン


 「ほらー、鐘鳴ったから席に着けー 」


 ガラララッ!!


 「よし、じゃあ、今日からこのクラスに入ることになった転校生を紹介するぞーー 」


 「おおーーー!! 」

 「先生、マジでっ!!? 」

 「男の子ですか? それとも女の子? 」

 「僕は可愛い女の子であると分析します。」

 「いやいや、イケメン一択でしょ。」

 「ウチ、女子少ないから女の子がいいなー。」

 

 転校生の紹介。

 それは、学校生活における盛り上がりイベントの一つ。

 受け入れる側は新たな仲間に歓喜し、受け入れられる側は新たな環境にドキドキする。

 他にも物語の展開で言えば、転校生なんて今後のカギになる重要人物であることが約束されていると言ってもいい。

 転校生とは、感情においてもストーリーにおいても、大きな曲線を描くのが定番なのだ。


 「はーい、静かにしろー、じゃあ入ってください。」


 ただし、今回の異例すぎるケースを除いて。

 

 「えー、今日からこのクラスの仲間となる双子の…… 」



 「祇峰双利くんと祇峰双凛さんだ。」



 「はいっ、皆さん、これからよろしくお願いしますっ!! 」

 「はいっ、皆さん、これからよろしくお願いしますっ!! 」

 ・

 ・

 ・


 「……って、なんでだああああああああ!!!? 」

 「……って、なんでだああああああああ!!!? 」


 新たな学校生活の一日目を終えたことになっている僕ら双子の転校生は帰り道で今日のイベントに対する不満を叫ぶ。


 「仕方ないんだろ? お前ら学籍どころか、戸籍まで消えちゃってたみたいだし。」


 「私達以外の学校のみんなも二人のこと全く覚えてなかったもんね…… 」


 叫ぶ僕らは一緒に徒歩下校していた二人の親友に気を静めさせられる。


 結局新世界の戻り先は前日の21日の夕方の6時で、人類二倍が起きた時間だった。

 十七年前に戻って人生をリセットするようなことにはならなかったが、世界の排除ルールによって、新世界での学籍を失っていた僕らは転校生として元の学校に通うことになったため、ある意味リセットである。案の定、クラスメイトも僕らのこと覚えてなかったし。

 姉貴の謎の手回しのおかげで転校はいつの間にか決まっていたことだが、この間まで普通に在籍していた学校から直接同じ場所に転校させられた奴なんて、この世界で僕らが初めてなんじゃないだろうか。というか、これは転校なのか?


 「そもそも、パラレルワールドとか作る時点で人類初だろうからな。そういえば、戸籍はどうしたんだ? 」


 「ああ、それはちゃんと役所で手続きをして来たわ…… 」


 新世界での妹となった彼女がオサムの質問に答える。

 理由が理由だけに結構手間がかかったな、アレ。


 「いや、そうじゃなくて二人の名前。」


 「名前……? 」

 「名前……? 」


 「だって、二人共、本当はフタリじゃなかったんだろ? 」


 「えーっと、フタバくんとミライちゃんだったよね。確かに戸籍を登録し直したなら、こっちの名前に変えても良かったよね? 他に名前を証明するものも消えちゃってるわけだし。」


 なんだ、そのことか。

 確かに僕らの名前はギリギリまでフタリじゃなかったみたいだし。本名と表現してもおかしくのない名前なのかもしれない。

 これに双子で読みがかぶってるから不便と言えば不便だ。だが……


 「あえてフタリにしたんだよ、戸籍の名前。」

 「あえてフタリにしたんだよ、戸籍の名前。」


 「それまた、どうして? 」

 「それまた、どうして? 」


 「だって、学校のみんな僕らの名前のこと微妙に覚えてただろ? 」


 「そういえば、珍しい名前って突っ込む人はいなかったね。」


 「それに、元々いた友達ともすぐ仲良くなれたし。」


 「なるほど、一人に戻った時の俺らみたいなことが起こっているのか。名前が偶然同じだったおかげで。」



 「いや、偶然じゃないよ。」

 「いや、偶然じゃないよ。」



 「えっ、違うの? 」

 「えっ、違うの? ]


 「多分あえて読みを同じにするために、母さんはこの名前にわざわざ変えたんだ。そうすれば、新世界に行ってもみんなの記憶にある祇峰フタリという名前の記憶だけは排除から免れるだろ? 」


 「実際、あなた達の記憶を取り戻せたのも、この名前のおかげだったし。」


 「じゃあ、全部計算されて…… 」

 「じゃあ、全部計算されて…… 」


 「計算はしてなかったと思うよ? 私達と友達になるあなた達がゾディアックに覚醒するかもなんて十七年前に分かるわけないし。」


 「おそらく、十七年の人生の積み重ねを全部消させたくないと思ったんだろうな。他人に覚えられてることだって、そいつが生きた時間の証にはなると考えて。例えそれが名前だけでも…… 」


 「証で言えば、この名前を変えることは、一連の超常をなかったことにしてるみたいだったしね。世界の二倍があったからこそ、付けられた名前をみんなが起こしてくれた奇跡の証にしたいと思ったの。二人分の人生っていう意味じゃなくて…… 」


 「ただ、祇峰フタリが二人いるという意味が込められたこの名前を。」

 「ただ、祇峰フタリが二人いるという意味が込められたこの名前を。」


 「だから、僕達は…… 」

 「だから、私達は…… 」

 



 「これからも。祇峰フタリだ。」

 「これからも。祇峰フタリだ。」



 

 「そっか、余計なおせっかいだったね……その理由すごい素敵だと思うよっ!! 」


 「それにフタリのままなら、俺達も呼び方変えなくていいから楽でいいしな。これから四人でつるむときもっ!! 」



 「ああ、改めてこれからもよろしくなっ!! 」

 「ええ、改めてこれからもよろしくねっ!! 」



 こうして、僕らの新世界での青春が始まる。

 新たな同級生を加えて。一人の家族を加えて。


 そして、これから一緒に立ち向かう。

 双子座にに選ばれたことによって。神の力を知る者として。そう……




 人類二倍の収束後に起きた、もう一つの超常の時の様に。

ここまでお読みいただきありがとうございます。こちらの作品は今回で最終回となります。

初作品と言うことで、いろいろ未熟な点、お見苦しい点などがあったと思いますが、その辺りを詳しくご指摘いただけると嬉しく思います。

もちろん、感想や評価もお待ちしておりますので、是非よろしくお願いいたします。

ちなみにこちらの作品には次回作の構想があり、未回収伏線も多くなっていますが、そのあたりに触れる詳しいあとがきは後日投稿させていただきますので、しばらくお待ちください。

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