邂逅世界の真実 true twice
「十七年前だと……!? 」
ここまでの謎解きで一度も驚きの声を上げてこなかった杉佐多だったが、今告げた十七年前というワードが、やっと彼から大きな反応を引き出す。
「やっぱり、そういうことよね…… 」
唯一の答え合わせ相手である彼女の頷き。
どうやら僕ら双子の推測は一致しているようだ。これで、より自信をもって謎を説ける。確かな真実を皆に伝えられる。
「……? 」
「……? 」
「……? 」
他の三人は怒涛の情報量に声すら上げなくなった。頭の上に疑問符が見える気がするから、『双子・死・二倍・分離・十七年前 』の五つが、うまく頭の中で繋げられていないのだろう。それでは、驚こうにも驚けない。
逆に、ただ一人驚くことのできた杉佐多は世界の真実に気付いたと言える。世界の真実に驚愕したと言える。
「ねぇ、チサトぉ……? どういうことぉ……? 」
謎解きの置いてけぼりにされた黒羽さんが、寂しそうな顔で射手座の頭脳派に縋る。
聞き手にそんな顔をさせてしまう説明順序をとるとは、探偵失格だな。そんな肩書に就職した覚えはないが。
「分からないのか……? 世界に行われた干渉が二倍で、その二倍の目的が分離。そして、その目的は十七年前のものって言ったんだぞ……? 」
まだ驚愕の余韻が残る杉佐多だが、僕の話した要点を上手いことまとめてくれる。なんか、コイツに語り手を引き継いだ方がいい気がしてきた。
「え、えーとっ、つまりは、世界が十七年前に二倍の力で分離されたってことだねっ……んんっ!!? 」
パートナーによって、簡潔的に繋げられたヒントを聞いた黒羽さんは僕の言いたかった真実に辿り着き、その辿り着いた真実に対して、すぐさま愕然とする。
「うそ……!! 」
「じゃあ、この世界は……!! 今までの世界は……!! 」
黒羽さんに続いて、オサムとアユリさんも真実を理解し、感情符を連ねる。
そう、この世界は十七年前に分離した。
僕らの右手にある力によって。
十七年前の発動者によって。
「ああ。僕の生きてきた世界とコイツの生きてきた世界の関係はただの並行世界じゃない。」
「私達、祇峰フタリの生死が違う二つの世界はもともとは一つ。」
「だが十七年前、その一つだった世界が双子座の力によって、二倍に増えてしまったんだ……二つの並行世界として。」
「だから、今起こってる融合は、ただ二倍からの回帰してるってだけ。十七年越しに、二つから一つへと。」
「人類二倍も、共通物の消滅も、世界が元の姿に戻る過程でしかなかったということ…… 」
「つまり、私は今まで…… 」
「つまり、僕は今まで…… 」
「つまり、あなた達は今まで…… 」
「つまり、全人類は今まで…… 」
「十七年間、ずっと生きてきたんだ…… 」
「十七年間、ずっと生きてきたんだ…… 」
「 母さん が 創った 、二つの並行世界で。」
「お母さんが創った、二つの並行世界で。」