表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/188

挟み込む勝利 endurance

 


 ギシ!! ギシッ!!


 「ぐっ!! ぐっ!! ダメだ、動かせねぇ……!! 」


 敵の左足を挟み込んだ俺のハサミ型黒剣。

 その上下の刃に存在する十数の鋭いギザギザは、それぞれが鎧に深く喰い込んで対象を決して離さない。蟹のハサミにしては、随分凶器性が誇張された仕上がりのおかげで、片足を上げたままかつ、拳も届かない敵はその体勢から次の攻撃にも移れない。

 

 『焦るな、ヤマトっ! 鎧ごと切り落とされる程の力じゃないから大丈夫だっ!! 』


 出来てもしねぇよ、そんなエグいこと。

 それに、お前らはこうやって動きを止めてるだけでもう……


 「ゔっ……ゴホッ!! グハッ!! ブハッ!! 」


 「勝手に倒れてくれるんだろ? 」

 

 「チッ……これが狙いか。」


 その鎧状態になった途端に始まった敵の不自然で激しい咳き込み。

 今なんて血まで吐いていたが、その光景を見れば鎧への拒絶反応であるとすぐに分かる。この姿を長く保てないのは火を見るより明らかで、決着を急ごうとしたのも納得。よって、このまま動きを封じ続ければ、コイツは間もなく力尽きる。


 「さて、このまま死んでもらおうか。 」


 なんて言ってみるが、原因が自滅でも人殺しは御免なので、死ぬ直前で開放するつもりだ。あとで槍を奪い取れば、勝利したと言っていいだろ。これから襲われなくなるかもしれないし。


 「それか今度こそ降参を…… 」


 「ハッ!! 俺様がこの程度で諦めるとでもっ!!? 」


 なかなかの威勢の良さを見せてくれるが、ここから何が出来るんだよ? その寂しくなった槍で俺の腕でも貫くか? その程度でこの籠手を破壊できるとは思えな……


 「おい、疾駆っ!! 左足の神装だけ弾き飛ばせっ!!!! 」


 「なにっ……!!? 」


 『えっ!? オレ、そんなこと器用なこと出来るの!!? 』


 「知るかっ!! 出来なくてもやれっ!!!! 」


 『んな無茶……まぁ、いい。やる価値はありそうだなっ!!神装解除っ!!!! 』


 ガシャ……バキィン!!!!


 「……なん、だとっ!!!? 」


 『すげぇ、ホントに出来たっ……!! 』


 俺の剣が挟んでいた左足の外装が物凄い勢いで弾け飛び、その衝撃で上下の刃を強引にこじ開けてしまう。


 「ハハッ!! やっと抜けたぜっ!!!! 」


 「うっ、しまった……!! 」

 

 当然ハサミが開けば敵の足はすんなりと動きを取り戻してしまうのだが、それに加えて今の衝撃で俺の右手から黒剣が離れてしまう。

 今さっきまでのチャンスが一転、丸腰の大ピンチの出来上がりだ。


 「ほらよっ!! 今までのお返しだっ!! 」 グルンッ……


 「っ……!!? 」


 「疾蹴、回し蹴りバージョンっ!!!! 」ブンッ!!



 ドカァーーーーーーンッ!!!!


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ