午蟹合戦 unilaterally scissors
ガンッ!!
ズサッ!!
バシッ!!
ビュンッ!!
ズバッ!!!
ドカァッ!!!!
「ぐっ!! つ、強い……!! 」
『駆出も疾蹴も通用しないとは……アイツただ者じゃないな。 』
敵の腹に剣による一撃を浴びせた俺は向かいの槍と使い手から随分な警戒をされる。
さっきから、突きや蹴りによる攻撃を何度も繰り出してきたのだが、俺はそれを度々見切ってはカウンターを食らわしていた。我ながら要注意人物として扱われるには十分な動きを見せたと思う。
『あれはゾディアックの力というより、人間そのものの強さがヤバい。全部峰打ちじゃなかったらとっくに死んでるぞ、お前。』
「チッ、ナメてやがるな。」
ナメてるんじゃなくて殺さないようにしてやってんだろうが。この実力差で刃使ってたら、アンタ真っ二つだぞ?
「ここまでやったんだから降さ…… 」
「降参なんてしねぇって何回も言ってんだろっ!!!! 」
いや、俺は一回目……ああ、どうやらフタリ達に追い詰められたタイミングもあったってことか。
しかし、降参してくれないとなるとどうしたものだろう?
俺も人殺しにはなりたくないし、ホントなら時代劇みたいに一瞬で気絶させてやりたいところ。だが、実際どこを狙えばいいのか分からないし、それっぽい首元を殴ろうにも今の力加減だと意識と一緒に骨も離れさせてしまいそうで気が引ける。
だから命を奪わない程度に打撃を繰り替えすしかないのだが、敵は思った以上に心も体も頑丈で、そこら中に転がしたはずの諦める要素を全く拾い上げてくれない。その理由のは半分はコイツが勝算の計れない馬鹿谷だからだろうが、もう半分としておそらくあっちには……
「疾駆、神器神装で行くぞ……!! 」
フタリさんの言ってた鎧の切り札があるからだろう。フタリ達をあんな状態にした力とはいったいどれ程の物かなのか想像はつかない。だが、まぁ、別に……
『言い出すとは思ってたが、それは無理だっ!! 今の万全じゃない体力で二回目の神装なんてしたらマジで死ぬぞっ!!! 』
「だから、死なねえって言ってんだろっ!! むしろこんな新人野郎に無様に負ける方が俺様にとって死だっ!! お前と俺の全力を使えばこんな奴、一瞬なのに…… 」
『……っ!! この先どうなっても知らねぇぞ……!!? 』
「ああ、勝ち誇ってお前を掲げてる先しか見えねえから問題ねぇ。もう一回行くぞ、俺とお前の一心同体。午のかみ…… 「させるかっ!!!! 」
ドゴォ!!!
「よぉっ!!!!? 」
そんなことされる隙、わざわざ与えるわけないから関係ないが。