閃きトゥワイス true ability 中編
「行くぞっ!! 」ダッ!
「ハハハハハッ!! 女の方は話にならんがお前はまだ楽しませてくれそうだなぁ? 」ビュンッ!!
バッ!!
ガンッ!!
ドカァン!!!!
話にならないらしい私をよそに再び始まった異能男達の激突。
お互いに攻撃されてはそれを避け、避けてはその勢いを利用して新たな攻撃を繰り出す超スピードの繰り返し。超人状態の私でも気を抜くと見失ってしまいそう。でも彼が互角を保っているのは分かる。
このままなら勝ててもおかしくは……いや、違う。
「ダメ。このままじゃアイツ負ける…… 」
私は互角と思えるぶつかり合いの中で徐々に起き始めている変化に気が付く。
まだ二人とも速度は落ちず、大きなダメージも受けていないみたいだけど……
「ハハハッ!! いいぜぇ!! 楽しいぜぇ!!? 馬神槍技、駆出ぃ!!!! 」 ビュンッ!!
「ハァ、ハァ……!! はあああああああああああ!! 」ビュンッ!!
息切れだ。彼の声にのみ息切れが聞こえる。それに対して敵はまだ万全の余裕を見せている。
この差の原因に関しては考えなくてもすぐにわかる。こっちの方が体力の消耗が早いということの表れだ。
でも、それは当然。私たちは二時間前の最初の戦いの傷や疲労が残っているのに対し、相手は二人から一人に戻ったに戻ったことですべての傷や疲労を回復させてしまっている。二対一で戦ってた私が言うことじゃないかもだけど、明らかに不利なハンデだ。
完治の理由はおそらく片方の人間が負った傷ともう片方に負った傷が一致しなかったせい。このルールのおかげでオサム君たちの傷は治ってくれたみたいだったので感謝を憶えたが、ここでは全く逆の感情しか抱かない。なんでコイツまで治しっちゃったかな世界さん!!? こんなところで人類平等を適応しないでほしいんですけどぉ!!?
「うっ!! ちっくしょ……!! 」ザザァァァァァァァ……ビュンッ!
「……っ!! やばそうね…… 」
言ってる間にも彼が押され始めた。
まだ直撃は避けれてるみたいだけど、スピードが落ち始めてる。やっぱりこのままじゃ……
「おいおいおいおいおい!!!! 期待させといてもうブレーキかぁ!!? 」ビュンッ!! ブンッ!! ダンッ!!
「くっ……まだまだに決まってんだろっ!!!! 」ビュンッ! ガッ! ザッ!
ダメだ。やっぱり二対一じゃないと勝てない。でもただ私が参戦し直すだけじゃ勝てないことは既に分かってる。身体能力の二倍だけじゃ奴のスピードについていけきれないことも。だから明確な勝ち筋を組み立てないといけないのに……
「あーっ、もうっ!! モヤモヤするっ!! 」
まだ私だけ気付いている真実が頭にこびりついて濃霧を発生させている。全然集中させてくれない。こんなんだから、すぐに吹っ飛ばされて戦力外扱いされちゃうんだ……彼の言う通り頭を整理しないと。
「今、これを考えたってここでやられたら全く意味がない。勝たないと何も伝えられない。何とも向き合えない。絶対忘れちゃダメなことだけど、今は忘れてよ私っ!! 」
私は私に今すべきことを声に出して言い聞かせる。
そうだ。今は考えるな私……そして、考えろ私。
どうすれば逆転できるの?
どうすれば勝てるの?
この力でもっと速く、
もっと強く、
もっと大きなダメージを。
それこそ二倍、三倍ぐらいの……二倍?
「あっ、そっか……もしかしてこの力なら…… 」