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分断 unavoidable battle

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 「ど、どうしよう!!? あっち、フタフタたちだけで戦うことになっちゃったよぉ!!!? 」


 「くっ……まんまとやられたな。」


 二つの別の干支結界によって祇峰フタリらと分断され、二人の干支のゾディアックに挟まれたオレとコイハル。

 あの馬鹿の性格を見るに仲間を連れくるタイプではないと考えていたのだが、想定が甘かった。四対一の有利が互角……いや、あっちの結界で言えば、二人とも手負いかつ、力に目醒めてから一日もたっていないのだから不利に持っていかれたと言える。


 「なぜ、ここが分かった? 全部作戦か? 」


 オレは気になっていた居場所の特定方法を問う。


 「いいえ、実は全部即興なのです。最初は私と八幡寺さんであのメガネの女の子と高身長の男の子を尾行していたんですよ。最初の戦いの場の近くで不自然に倒れているのを見かけてたので、手掛かりになるのではと思いましてね。そして、この祇峰家に辿り着いた訳ですが…… 」


 「しかし、まさかあの馬鹿に我らも尾行されていたとはな。あの双子座二人の姿が家の中に見えた途端に飛び出していきおった。本部でじっとしてろときつく言っておいたのだが…… 」


 酉に続いて、初めて見る大柄な制服槍使いがオレの問いに聞こえる。


 「お前は……? 」


 「おっと我とは初めましてだったな、射手座に乙女座よ。我の名は八幡寺要(はちまんじ よう)。この牛神槍 (ぎゅうじんそう )防角(ぼうかく)に選ばれし、丑のゾディアックだ。以後お見知りおきを。」


 「今度は丑か……で? その言いぶりだと戦うつもりは最初なかったのか? 」


 槍を見せつつの、ご丁寧な自己紹介を耳入れたオレは話を元に戻す。


 「双子座だけの姿だけであれば攻めてもいいと思っていたのですがね。でも、その二人の奥にあなた達の姿が見えましたのでどうしたものかと考えていたのです。お互いの二倍現象も治まった様で、そちらには覚醒したての新米含み……とは言え、二人で四人のゾディアックを相手にするのはリスクが高い気がしましたから。」


 「だが、そこで良くも悪くも想定外の馬鹿が考えなしの突撃してしまったのでな。それによって図らずもこちら側が三人となり、そちらにはまだ未熟であろう二人を含めた四人。だったら新人共は馬鹿一人に任せ、手練れの我らで手練れのお前たちを倒せばいいという結論に至ったわけだ。」

 

 なるほど、この状況は偶然の産物という訳か……どうやら星の神より、干支の神の方が運命の操作が得意らしい。これでは星占いより、干支占いの方が精度が良さそうだ。クラスの大半が同じ運勢にはなるという面白味の欠けが生まれるが。


 「そ、それよりチサトっ!! 早く倒してここを出よっ!! フタフタたち助けないとっ!! 」


 コイハルがオレの袖を引っ張って焦りだす。

 もちろんここから出るにはコイツらを倒さなければならないし、あの二人の絶望的状況を考えて焦る気持ちは分かるのだが……


 「残念ですが、どれだけ早く私たちを倒しても隣の結界には入れませんよ? 」


 「え……!? 」


 「その通り。結界の解除は我ら発動者の意思か意識の喪失によってのみ行われる。つまりここを出たとしても、あの中の戦いが終わらぬ限り助けには入れんというわけだっ! 」


 「そっか、そうだった…… 」


 敵二人のあざ笑うような説明を聞いたコイハルは以前の戦いのことを思い出し、この結界の仕様についても理解し直す。


 「でも、このままほっとくわけにも…… 」


 「ああ、その通りだ。」


 オレはコイハルの優しさに同意する。

 でも具体的に何かできるわけじゃない。オレたちが何をしようとあの二人の助けには入れない。だから……


 「だから信じるしかない。あの二人が目の前の敵を倒せることを。」


 「そうかもしれないけど……、でも…… 」


 「目覚めたてでも一応力は持っているんだ。圧倒的不利でも、希望がないわけじゃない。それに……あの二人にはまだやるべきことが残っている。」


 そう。あの二人にとっては、これが最後の戦いではない。

 もう一つ、対峙しなけばならない事象がまだ残っているのだ。

 この人類二倍現象の謎……いや、既にその真実に片方は気付いている。だから今の二人が本当にやらなければいけないことは、あの真実にどう向き合い、どう消滅回避に繋げるのかを模索すること。こんなところで足止めされているわけにはいかないはずなのだ。



 この世界の真実。そして祇峰フタリの真実はきっと簡単に受け入れられるものではないのだから……



 「あの真実と向き合わないまま死んでいいわけがない……あとは二人の思いと勇気に賭けよう。」


 「うん……そうだよね。そうだもんねっ。それなら私たちは…… 」


 「ああ、オレたちはオレたちの目的のために目の前の壁を越えよう……行くぞ、コイハル。」ガチャッ


 「……よーし!! 私、フタフタたちに負けないくらい頑張るよっ!!!! ドレスアップ・ヴァルゴっ!!!! 」 カチッ……ヴィン!!


 信じる覚悟と戦う覚悟を決めたオレたちはそれぞれのギアで敵に立ち向かう。

 オレの目指す夢のために……


 「フッ……、以前のようには行きませんよ。羽撃、神器覚醒っ!! 」ダッ


 「まずは下準備頼んだぞっ。防角、神器覚醒っ!! 」ダッ


 ガシャンッ ピキーーーーンッ!!

 ガシャンッ ピキーーーーンッ!!


 『Limiter Burst !! ピギャァァァァ!! 仰せのままに、お嬢様っ!! 』

 『Limiter Burst !! ブモォォォォォ!! 吾輩の守り、破れるものなら破ってみよっ!! 』

 

 

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