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望まぬ再会 storming spear

 


 「さぁて、ここからは俺様の謹賀応報タイムっ!! 決着をつけさせてもらうぜぇっ!!!! 」


 おそらく超人的に空から降ってきて、家の前の道路にクレーターを作り上げた男。


 ソイツは左に流れた髪型。

 子供でも使わない俺様一人称に、

 元の意味から既に間違った四字熟語。

 そして何より、その手に持った派手な馬の槍。


 間違いない。今朝僕らを襲撃した馬鹿……もとい午の槍使い・鹿谷ヤマトだ。


 「な、なに……!? あの人……!!? 」


 「道路を割った……!!? 」


 一度襲撃を受けたはずのオサムたちは目の前で起きた現実離れに新鮮な驚きを見せる。

 それも人類二倍以降の記憶を失ってるなら当然ではあるが……あれっ? そういえば……


 「アイツ、なんで僕らのこと憶えてるんだ……? 」


 僕らがあの馬鹿に襲われたのは人類二倍現象に見舞われていた真っ最中。

 つまり、襲撃自体が一人に戻った人々の記憶から消える対象。だから戦いや怪我の記憶があるはずもなければ、再戦と決着を望むこともないはず……なのに、アイツは戦いを望んで、挑んでくる。完全に僕らのことを憶えているとしか思えない。

 

 敵でありながら、まさかの三人目の記憶保持者なのだ。


 「なんで……? 一人に戻る瞬間は一番最初にこの目で確認したはずなのに…… 」


 ……いや、一人目なのか。

 僕は女の自分の呟きで馬鹿の人数の回帰の瞬間を思い出す。

 アイツが光に包まれて一人になったときも記憶を失っている様子は全くなかった。

 あの時は、一人に戻った人間から僕らやその超常自体の記憶が消えてしまうなんて、知りもしなかったし、思いもしなかったから気づかなかったが、アイツはその時点で既に記憶保持というイレギュラーだったのだ。


 しかし、何故憶えてるんだコイツ? 神の力を使うからか? でも、コイツの力と僕らの力は違うものなんじゃ……


 「おいっ!! 何を考えこんでやがる!!? 何を考えたって俺様の実力の前じゃあ、“策士、タクシーに追われる”だけだぜ? 」


 玄関先のアスファルトの窪みに立つ馬鹿が僕らに向かって叫びかける。

 カタカナの入った新感覚ことわざのせいで後半は全く分からなかったが、前半は奴の言う通りでもある。

 今は未だ理解不能が大半を占めるこの世界の仕組みを考え込んでいる場合ではない。本当に今考えるべきで、行動すべきは……

 

 「チッ……! 唯一、忘れてて欲しかったって思える人間だったんだけどな……おい、話は保留で構えるぞ。 」


 「う、うん…… 」


 カチッ……、ヴン

 カチッ……、ヴン


 戦闘態勢に入るべく、僕らは右手首のブレスレットに触れて二倍の力を持つジェミニック・グローブを顕現させた。

 

 

 

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