過去明かし beginning past Part2
「な、何もなかったの……? 」
私は消えて崩れゆく思い出の山を見届けながら、男の自分の意外な調査報告に言葉を失う。
「特にアルバムとかは優先して一通り目を通したが、世界を合体させそうな過去は何も。お前のハナタレ写真ぐらいしか印象にないな。」
「おい、真剣に話せよ。」
ここに来ておふざけを見せる彼にドスのきいた声で怒りを表す。
しまった。そういえば、こいつにアルバム見られる恥ずかしさを考えてなかった。私も一階にいるべきだったなぁ……、自分の分は自分でチェックすべきだったみたいだ。
「いや、真面目な話だ。一応、僕とお前の分のアルバムを比べながら見てみたが、違うのは友達とか来てる服ぐらいで、通った学校も幼稚園も同じ。他の写真もそんな感じで気になる共通点も相違点も全くなかったんだよ。だから、印象に残るものがほとんどなかった。」
「え……、じゃあ…… 」
「ああ、今消えてったものの中に手掛かりはないと思う。」
言われてみれば確かに彼の言う通りかもしれない。
押し入れにあって今消えていったものは全て私が経験した思い出。幼いころの記憶が曖昧とは言え、その中から世界を変えるほどの完全未知が見つかるとは思えない。つまりはこの山を探ったところで、自分の記憶から得られる情報と大差ないのだ。
だから、この思い出を惜しむのは生き残った後でいい。
「だが、だとしたらどこに手掛かりが……そういや、お前二階になんかあったのか? 」
男の自分が分かれる前の私の行動を思い出す。
そうだ。ここに手掛かりがなくても、あのお姉ちゃんの絵だって大きな手掛かりとなりうる。一人じゃ無理だったけど、これを見せてみんなで考えれば解決も……
「うん、それが…… 」
ピンポーンッ……
「え? また!? なんで……!? 」
「は? また!? なんで……!? 」
四つ折りにした画用紙をポケットから取り出そうとした瞬間、またも鳴るはずのないインターホンのチャイムが邪魔をする。
さっきは隣にいるコイハルちゃんたちだったけど、今回は本当に誰……?
「まさか今度こそ敵じゃないよね……? 」