消滅宣告 unavoidable fate
「私達もいずれ消えてしまう…… 」
「僕達もいずれ消えてしまう…… 」
““おっ。ついに気付いたのかな? ”“
ピカァ……
「うっ……!? 」
「うっ……!? 」
・
・
・
「ん……、ここは夢の……? 」
「ん……、ここは夢の……? 」
““やぁ、二時間ぶりくらいかな? ””
「またお前か…… 」
「あれ……? あなたは覚えてるの? 私たちのこと…… 」
““そりゃ、覚えてるよ。ワタシは君たちと一体化してるんだから。故に『力』も使えるってわけ。””
「いつの間にかそんな状態になってんのか僕ら……、でも、何で無視してた? ずっと頭の中で呼んでたんだぞ? 」
““いやー、それは悪かったね。一定のことに気づくまでユイガに手助け禁止されてたんだっ。だから、仕方ないって思ってくれるよね? ””
「神様名乗るなら、お姉ちゃんに負けないでよ。」
““だってほんとに怒ると怖いんだもぉんっ。 ””
「声だけのくせに可愛い子ぶっても、何も無いぞ。で? この世界は人間ごと融合しようとしてるってことで良いんだな? 」
““そっ。合ってるよ。 ””
「じゃあ、何で姉貴とお前は嘘ついたんだ? 」
““嘘? ワタシとユイガが? ””
「まず姉貴は昨日、世界が一定期間で元に戻るって言ってたぞ? それにお前は自分の力が世界を変えたみたいなこと言ってたろ。」
「そうだよね。二倍と融合って、全然噛み合ってないし、元に戻ったとも言えないのに……このせいで結構振り回された。」
““あー……、そこはノーコメントで。””
「なんでよ。」
「なんでだよ。」
““いやぁー、まだ君たちはそもそもを勘違いしてるからねぇ〜。そこに辿り着くまではその辺りには触れられないかな? ””
「えっ、私たちまだ何か勘違いしてるの? 世界の終着点以外で? 」
““大分重要なこと……終着点じゃなくて出発点かな? ””
「出発点……? 」
「出発点……? 」
““そうっ。これも詳しくは言えないけどヒントだね。他にも答えられることは答えてあげるから。聞きたいこと聞きいて良いよ? そんなに時間もないし。 ””
「ハァ、時間内っていう割に相変わらずヒントだけか……まぁ、いい。じゃあ、片側の世界にしかない物とか記憶が消えてしまうってのも合ってるか? 」
““うん、そうだね。世界は矛盾を許してくれないから、君たち関連で生み出されたものは排除されちゃうの。””
「矛盾は排除か…… 」
「てことは、やっぱり私たちが消えるのも本当……? 」
““残念だけどこのままだと消えちゃうね。君たちも世界の矛盾になるわけだから。””
「このままだと……? 」
「つまり、回避方法があるのか? 」
““あるけど……、もうそこにツッコむの? 今のほぼ確定余命宣告だったのに二人とも意外と冷静だね? もっと絶望しちゃうかと思ってたんだけど。 ””
「だって、世界の戻り方を見るに、僕らの消滅まであんまり時間はないんだろ? いちいち落ち込んでる暇も。」
「それに大切な人に忘れられたり、大切な物が軒並み消えちゃったりして、さっきからあんまり生きた心地してないしね……、今更自分が消えるって言われても、あんまり傷つけない。 」
““なるほどっ。もう今までに色々耐えてきたんだもんね。””
「ええ、でも……それでも、やっぱり希望があるなら縋りたい。」
「ああ。今までの人生台無しになっても、生きていればこれから取り返せるものはきっとあると思ってる。」
「それに…… 」
「それに…… 」
「僕が諦めたらコイツも消えちゃうだろ? 」
「私が諦めたらコイツも消えちゃうでしょ? 」