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3話 冒険の始まり

やぁ?君が新しい冒険者かい?

おっと、僕かい?

僕は冒険者、ギルド長の一人さ。

ギルドとは、世界に蔓延る汚物を、消毒するための組織さ。

醜いゴブリンに、気味の悪いデーモン、そして、頭のイカれた天使共。

うんざりじゃないか。

だからこそ、殺し尽くす。

どうかな?君もギルドのメンバーにならないか?

 

「――うわぁ~、氷で作られたダンジョンも一段と素敵ですね!」


「あぁ。見事なものだ。

 大変だったが、こんな場所まできた甲斐がある。

 これならば、かつての“賢者”たちが残した『遺産』も見つかるかも知れないな?」


 ――賢者。


 僕たちはかつての兵器――オーパーツを造りし者たちの『銘』をそう冠する。

 もし、僕たちが生まれる以前から、とある文明が存在していたとしたら?

 その文明が何らかの原因で滅び、また新しくこの世界に生誕せいたんしていたとしたら?

 僕たちが抱く疑問は――『そこ』にある。


 である、と断言するのならば、オーパーツなんぞというデタラメな遺産やこんなダンジョンは存在しなかったはずだ。

 見事、この文明とは似つかわしくないこのダンジョンこそが、まさしく、僕たちが探索するこの場所だった。


 硝子がらすで作られたような白鳥の彫刻に、天蓋てんがい付きの硝子のカーテン。

 その遥か上から舞い散るしもは、まるで星屑のよう。


 自然現象では明らかに考えられにくい人口物でその場は溢れていた。

 その時点で、僕らの仮説は立証されたとなる。


「師匠?この彫刻は誰が作ったのでしょうか?」


「さてな?それこそ、『神のみぞ知る』だろうな?」


 彼女は「なるほど……な~」と呟きながら、ダンジョン内の色々な遺留品に触れては、回っていた。

 すると、彼女は金糸のアンテナをピョコリ。と反応させると、その遺留品を手に取った。

 どうやら、奇妙な落とし物があったらしい。


「――イツカ?これは、何だと想う?」


「それは――」


 どこから、どう見ても――携帯端末だった。

 って――どうして、こんな所に!?


「――師匠!貸して下さい!」


 僕は半ば、奪い去るように彼女から携帯端末を受け取った。

 そして、電源を急いで入れてみる。

 どうやら、まだ動くようだ。


「――イツカ?それは一体、何なのだ?

 どうやら、貴様はそれの使い方を知っているようだが……」


「知っていますよ!そりゃ――」


 刹那、氷の刃が僕に牙を剥いた。

 とっさに抜き出たバタフライナイフが閃く。


「――“スノーマン”か」


 闇に潜む者の正体。

 師匠がそう呟く。

 確か、この大陸の北部に生息するモンスターだったような……。

 って――そんな場合じゃない!


「下がってください!

 ここは僕が――引き受けます!」


 僕は闇を睨むと、一直線にスノーマンとやらの頭上を駆けた。


「Gyyyaaaaaaaaaiiiii!?」


 スノーマンの群れが恐れ慄く。


「――遅い」


 流星の如く迸る剣閃。

 その首を何本もいだ。

 その度に、宙へと緑々しい鮮血が散っていく。

 僕はその鮮血に濡れず、確実に一匹、一匹を仕留めた。


「――イツカ、退いていろ。一気に片を付ける」


「――委細承知いさいしょうち


 僕は一旦、彼女の後方まで下がった。

 呼吸を整えば、眼前を見据えた。


「――雷鳴よ、迸れ」


 たった、それだけの『詠唱』。

 それだけで、群れは全滅した。

 ポルポル状態の人にも分かりやすく伝えるのならば、彼女が放った電撃。

 剣の切っ先から零れたそれはスノーマンたちを一匹残らず、焼失させ、みにくく焦がし尽くした。

 流石、彼女だ!そこに痺れる、憧れるぅ!

 けど、大丈夫かな?

 ダンジョン内の遺留品が全滅してないと良いが……。


「手加減したから大丈夫であろう?」


「えぇ……」


 まぁ、彼女がそれでいいのなら、あくまでも文句なしだが……。


 僕は想いだしたように、携帯端末へと視線を落とした。

 英語でWelcomeと立体映像が表示されていた。

 よし、いけるぞ!

 僕は端末を操作すると、その表示された情報をくまなくチェックした。


「師匠!地図ですよ!それも高密度な!」


「何!?そんな物が存在しているなんて、未だ世界は大きいな!」


「それだけじゃ、ありません!この全世界の世界地図がって――ああ!」


 ボシュッ。と大きな音を立てて消えてしまった。

 どうやら、バッテリー切れらしい。


「――どうした?イツカ?」


「バッテリー切れみたいです」


「ばってりー?」


「そうです。まぁ、蓄電池みたいな物だと考えてください」


「なるほど、分からん」


「オオ……、ジーザス……」


 僕は肩を竦めると、松明に炎を灯した。


「――行きましょうか、師匠。

 まだ、どこかに電源が残っているかも知れません」


「うむ」


 僕は彼女の一歩前を進むと、闇の中に身体を捻じ込ませた。



お読み頂きありがとうございます。


感想、お待ちしています。

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