8話 おっさんには刺激が強すぎたかもしれない
方位磁石を頼りに真っ直ぐ歩いているとまた何かが見えた。
遠目からなので判りにくいが先ほどの兎のようにも見える。
そこで俺は先ほどの教訓を生かしFPSのシューティングゲームとかでよく見かける銃を召喚する事にした。
「”召喚”」
虚空から呼び出したそれを両の手で確りと受け取る。
自分で召喚しておいてなんだが想像より大きかった。
全長1447.8mm重さ12.900gは伊達じゃない。
バレットM82という名前のライフルだ。
ずっと抱えるには重いのでスタンドを立てて地面に置く。
それから同じようにこれに合う12.7mmの弾も召喚して確り詰め込む。
それから地面に寝そべってスコープを覗いて見るとはっきりと前方の何かが見えた。
どうやら兎ではないようだ。
何と言うか猪の様に見える。
そこで知識の書を開く。
安易に近づかなければ事前に調べられる、そっちの方が断然有利だ。
どうやらロケットイノシシと言うらしい。
獲物を見かけたら素早く突っ込んでくるからこの名前だとか。
安易な名前と言うか判りやすいと言うか、こちらとしてはどう動くか判りやすくて助かる。
今回は十分な距離を取っているのでこのままこの銃の試し打ちをする事にした。
すてんばーい・・・すてんばーい・・・レディ!!
スコープの中心に猪を捉えて引き金を引く。
その瞬間轟音が鳴った。
銃口当たりの空気がはじけ飛んだような気がした。
ゲームやニュースとかで聞いたようなあんな軽い音じゃない爆弾が爆発したような音が鳴り響いた。
そして腕から伝わってくる重々しい振動。
・・・寝そべって使ったのは正しかったな。
立ったままで撃ってたら反動で後ろに倒れてたんじゃないかなって位やばかった。
そうだ、肝心のイノシシはどうなったか。
スコープで確認してみると目を覆いたくなるようなミンチが黒い塵になって空気に溶けていく様子が見れた。
ひゃっほう、こいつは凄いぞ。
これからは遠くからこいつで狙い撃ちしてやろう。
俺はこいつを抱え上げると土を払い、それから次の獲物を探すのだった。