5話 おっさんのネット知識と戦争の遺産
部屋から出て森の中を歩いてみる。
と言ってもまっすぐ五分も歩いていないうちに変なものを見つけてしまう。
俺の背丈よりやや高い入口に扉があり、半分ほど開いた部分から覗かせる地面は明らかな階段。
明らかに人工物だ。
壁には迷宮と書かれている。
RPG何かでお約束のアレなのだろう。
そしてその迷宮の右側には畑としか思えない土地が広がっていて隣接する場所に川も流れている。
まぁ畑の方はボロボロに荒れ果てている訳だが、川の水は綺麗に澄んでいて見た目的には飲んでも問題ないような感じだ。
はっきり言ってしまうと食い物や飲み物の心配はしていない。
そう言う力を得たからだ。
シロイミライが何時もポケットからAKMのマガジンだったりお菓子だったりと取り出すのを思い出した結果、何でも想像したものを召喚する力を選んだ。
これでお腹がすいたら食べ物を召喚したら良いので衣食住の問題はクリアしたと言っても良いだろう。
試しに作ってみたたこ焼きは美味しかった。
そんなこんなの腹ごなしの散歩だったのだが、直ぐにこんなものを見つけてしまった訳である。
折角だから中に入ってみようとは思うが、その前に準備しなければならない。
仕事もそうだが事前準備ができないクソ上司は部下に迷惑と罵声をかけるものである。
俺はそうはなりたくないという気持ちで確り学んだのでここでも準備をしようと思う。
まずは頭の中で何を作ろうかと想像する。
今回はやはりアレだろう。
そして手を前に伸ばして言葉を出す。
「”召喚”」
正直年の割に中二病的な感じがしてちょっとした恥ずかしさはあるが、問題なく出来た様で目の前に想像した物体が現れる。
そう、シロイミライの恋人と言っても良い存在でもある、あのAKMだ。
説明しよう、AKMとは旧ソ連軍が作り出したアサルトライフルであり、AK47と言う銃の改良版。
フルオート時の射撃性を中心に改良されており精度も良いものなのである。
っと言った感じだとネットに書いてあったのを覚えている。
一緒に召喚したマガジンを刺して銃剣部分の刃物を差し込むと、それを肩にかけてからもう一度頭の中で物体を想像する。
「もう一個、”召喚”」
今度は真っ黒な拳銃が出て来る。
トカレフTT33という名前の銃だ。
こちらも旧ソ連軍の軍用拳銃でとても単純に作られた物だが威力は凄いとか書かれていた気がする。
相変わらずのネット知識だ。
こちらにも弾薬をセットしてから軽く握ってみて重さを確認して、同時に召喚したホルスターに刺した。
さて、銃が二つもあれば怖いものなしだろう。
肩に想像以上の重さを感じながらも体を揺さぶって具合を確かめる。
一通り確認したのちにその足で迷宮に入るのであった。