4話 おっさんの新しい力はシロイミライなのか?
結局見た目は同じような顔になった。
完成したものを鏡を見るような気持で見れたからまぁそっくりさんにはなっただろう。
部屋の中で一通りラジオ体操をやってみたが違和感などなく動きもスムーズで元々の自分の体と変わらずの体感だった。
ラジオ体操終わるころにちょっとした疲労感があったのも同じだ。
・・・これはなくて良かったのに。
そんなこんなで次の箱に手を伸ばすことにした。
好きな力を一つだけとの事だったが、正直良く判らない。
小さい頃はよくアニメや漫画を読んだものだが社会人になるころにはそんな余裕もなく、只管働いて飯食って風呂入って寝ると言うサイクルを続けていたからだ。
取り敢えず触れてみると先ほどと同じようになる。
目の前に現れたのは丸い物体だったが。
確りと隣に説明書きがある。
なになに、これに手を入れて欲しい力を想像しろと。
引き抜けば完了とだけ書いてある。
どんな力でも良いのだろうか?とふと疑問がよぎる。
ほら、地球破壊爆弾~(猫型ロボットの声)とかでも良いのかなと思う訳だ。
此処が地球かどうかも判らないけど。
正直にそんなもの手に入れても扱いに困るので要らないんだが。
とまぁそんな事を考えつつそろそろ真面目にやるかと想像力を膨らませていく。
だが思いつくのは仕事で使ったあの道具便利だったなぁとか電験三種合格するくらいの知能が欲しかったとかそんな事ばかりだ。
社畜になってからというもの夢も希望も全く感じられない生活を長い間過ごしてきた所為なのかファンタジックな想像が出来ない。
パチ屋で腰痛めたから腰を痛めない力とか掃除屋で手が荒れたから手荒れが即直る力とかは直ぐに思いつくんだが、実際そんなもの貰った処で今からの生活に役に立つ気がしない。
他にも全く臭くなく体の害にならない上火も要らないタバコがあれば吸ってみたいだとか誰とでも仲良くなれるコミュニケーション能力があったらとかは思いつく。
まぁ禁煙者は喫煙席での会話に参加できないし喫煙者同士の謎の結託で仲間外れにされやすい経験が多かったのもあるだろう。
それ抜きにもコミュニケーション能力があれば問題なかったんだろうなぁと思ったりしての事だが。
ボッチってな、辛いんだよ。
いかんいかん、こんな所で過去の事を思い出して暗くなっても仕方ない。
これからは真っ黒な未来じゃ無く白い未来を掴まなければ。
・・・ん?待てよ?
白い未来、しろいみらい・・・シロイミライ!!!
俺は前の世界での唯一の心の癒しだったとあるアイドルを思い出した。
シロイミライと言う名前で活動する彼女はFPSが大好きで中でもAKMと言う銃を愛する少女だった。
それに影響されてか俺も彼女とそのAKMとやらが好きになったもんだ。
よし折角だしシロイミライにあやかった能力にでもするか。
一度深呼吸をして気合いを入れた俺は勢いよく球体に手を突っ込んだ。