序章―とある人間の内心メモ―
――――――――――とある人間の内心メモ――――――――――
今年で三十五歳にもなる。
今どきの子供たちから見たらおっさんと呼ばれるそんな存在だ。
18歳までは人生も順調で決して良いとは言えない偏差値の高校であるが確り卒業し、大学も推薦入学を果たしている。
そう、ここまでは特に人生に不満なんてなかった。
小学校に通っているときに漠然と思っていた。
生まれてからやがて学校を卒業してスーツを着て仕事をしながら恋愛の果てに結婚して子供が出来て子育てに四苦八苦しながらやがて年老いて行くと言った人生は待っていなかった。
大学入学して直ぐに親はリストラに会い入学費用すら払うのが辛くなる。
それからは昼は学業夜は時給に釣られパチ屋のバイトをするという毎日。
それでも二年になろうとするとどうしても学費を捻出できず自主退学に追い込まれ、後は野となれ山となれ底辺と呼ばれる世界で中小企業の中でも飛び切り人使いの荒い会社に入社せざる得なくなった。
寝る間も惜しんで働いて一日の三分の二を労働に充て、そのまま帰宅すると死んだように眠って数時間後には目覚ましに強制的にたたき起こされてゾンビのような表情で出社する生活を続けた。
三年ほど繰り返しただろうか、労働中に突然倒れる。
病院でも理由は判らないとの事だったが間違いなく過労による疲労の蓄積が原因であっただろう。
それから程なくして会社から自主退職を迫られ辞める事となる。
倒れた時の疲労を引きずり半分身体を壊した状態では次の仕事も上手く行かずやがて更なる底辺へと転がり落ちる事となった。
今では残業代も全く支払われず暴力的発言が当たり前ではあるが何とかとある掃除屋に努める事に成功はした。
ゴミを片付ける仕事ではあるが、気を抜いたら私の命をゴミ箱に入れられかねない状況だ。
この状況を何とかしようと色々と試した。
コイン取引に手を出しては高値を掴み痛い思いをし、YouTuberで一山当てようと橋の上から川に飛び込んだりもしたが風邪を引くだけだったし、バーチャルに手を出そうにも絵心なんて全くなかった。
宝くじは300円以上の当たりを引く事は無かったし最早何をやっても上手く行く気が全くしない。
親を食わせる為にも必死で金を稼いでいるがもう限界だ。
きっと俺は生まれてきてはいけない人間だったのだ・・・
――――――――――暫定でここまでを提出とする――――――――――