本日の一冊 「チョコレート戦争」
「チョコレート戦争」【理論社】
大石 真・作
北田 卓史絵
この本も、私が小学生のころには図書館に置かれていたから、もうかなりのロングセラーである。
魅力的なタイトルに惹かれて、三回くらい貸し出した記憶がある。
主な登場人物は、光一と明。
ある日の放課後。
光一は熱を出して食欲のない妹のために、明といっしょに、市内でも評判の洋菓子店の金泉堂に行く。
しかし、二十円ほど足りなくて、シュークリームは買えず、悔しそうにショーウインドーの中のチョコレートの城を見つめていると、とつぜん、ウインドーのガラスが割れてしまった。
喉から手が出るほどに、そのチョコレートの城が欲しかった二人は、あまりにタイミングよくウインドーが割れてしまったので、思わず逃げだそうとしたところを、店の支配人に捕まってしまう。
社長の谷川金兵衛氏はじめ金泉堂の大人たちは、二人の言い分を決して信じようとしない。
かけつけた桜井先生のおかげで、何とか帰してもらえるが、怒りがおさまらない光一は、明にとんでもない計画を打ち明ける。
それは、金泉堂のショーウインドーの中のチョコレートの城を、仲間と盗み出そうというものだった。
一方、新聞部の明は、金泉堂の大人たちによって、何もしていない自分たちが犯人扱いされたという記事を書き、市内の小学校新聞に載せようとしていた。
光一から、金泉堂のチョコレートの城を盗み出す計画を聞いた明は、事をおさめようと、松井先生に相談の電話をするが、事態はとんでもない方向へと進んでしまう。
ふだん、なかなか手が出せない金泉堂のお菓子。
シュークリームひとつの値段が八十円というから、時代が変わったんだなあとしみじみ。
けれども、シュークリームの値段以上に高いのは、子どもたちのプライドだ。
まったく無実の罪で大人たちに咎められた二人の怒りが、学校新聞を通して、市内の子どもたちすべてに伝わり、多くの共感を集めるのは、瞬時ではないけれど、まさに現代版ツイッターのようだ。
子ども対金泉堂の「チョコレート戦争」
勝利するのは、果たしてどちらか。
気になる方はぜひ作品をごらんになってください。




