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縁の本棚  作者: 雪縁
90/306

本日の一冊 「海うさぎのきた日」

「海うさぎのきた日」【講談社】

          あまん きみこ作

          渡辺 洋二絵


 息子たちの通った小学校で、八年間読み聞かせサークルの活動をした。

 我が子の卒業とともに、メンバーもサークルを卒業。

 けれども、ともに活動したメンバーの結束はかたく、お互いの子どもたちが成人した今でも、読み聞かせOGたちの集いを時々行っている。


 この「海うさぎの来た日」は、卒業メンバーのOGたちと現役読み聞かせサークルのメンバーがコラボで、ペープサートを作って、子どもたちに披露した思い出深い作品である。


 物語は、少女の一人称で語られていく。

 なわとびの苦手な女の子が、ひとりぼっちで砂浜にいる。子もりうたのような波の音を聞いているうち、だんだん眠くなってしまう。

 ふっと目覚めると、あたりはにぎやかな声でいっぱい。


 おおなみ こなみ

 ぐるっと まわって 

 うさぎの目

 ぐるっと まわって

 うさぎの目


 そのなわとびうたのとおりに、まっ白なうさぎたちが、海の色のようなきれいな青いひもをつかって、なわとびをしているのだった。

 だれにもみえないはずの海うさぎが、わたしにだけは見えている。

 うさぎたちは大喜び。いっしょになわとびしようとさそってくれるが、わたしはなわとびが大の苦手。

 ためらっていると、なわとびの苦手な小さなうさぎが、「いっしょにとんでみようよ」と声をかけてくれた。


 青い海にまっ白なうさぎたち。

 なんて美しく、清々しいんだろう。

 やわらかで大きな青い布に貝殻をはりつけたり、青く透明な、なわとびのひもをこしらえたり、白いうさぎをたくさんこしらえたり……みんなで知恵を出しあい、ああでもない、こうでもないとペープサートづくりをした。

 波の演出には、下から二台の扇風機をあてて。

 波の音には、箱の中に小豆を入れて。

 何度も練習して、披露し終わったときの、子どもたちからもらった拍手の嬉しさは、とても口では言い表せない。


 本作品は、あまんきみこ氏「だあれもいない」に収録されている短編である。

 地味ではあるが、あまんきみこ氏の数多い作品の中で、もっとも好きな作品だ。

 



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