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縁の本棚  作者: 雪縁
82/306

本日の一冊 「夢は書物にあり」

「夢は書物にあり」【平凡社】

           出久根 達郎著


 作者は、作家であり、古書店の店主でもある。

 その著書は多数で、若い頃にいろいろ読んだ記憶がある。

 中でも本書がいちばんのお気に入り。

 なぜならわたしがいちばん賛同できる部分があるからだ。


 そのひとつが「図書館浴」。

 なに? それ。

 首をかしげる方もおられるかもしれない。

 けれど、わたしは、読んだ瞬間に思わず、それ、それ、それなのよと声をあげたくなった。

 樹々の酵素を浴びて心身を清める「森林浴」に対し、図書館に一定時間身を置くことで、本の気を身体にとりこむ「図書館浴」。

 著者の知り合いがそう称して実行されているらしいが、わたしもまさに同感である。


 「図書館浴」とは、本を読むわけでなく、書架の本をただ漫然とながめる。ただそれだけで、イライラした気持ちが霧のように晴れていく。不思議と心が和むのだ。

 「書店浴」もできそうだが、この場合、買いたいという欲が出てくるのが問題だ。それが叶えられないときはかえってストレスになってしまう。図書館の本であれば、カードさえあれば、無料で何冊も手にいれられる安心感がある。

 「図書館浴」。興味のある方はぜひお試しあれ。


 もうひとつ。

 読書の効用について。

―本を読むといいことがありますか?

 この問いに対し、作者の言葉を整理すると、以下のようである。


―本をたくさん読んだからと言って、大金持ちになった話は耳にしないし、財産をつぶしたという例も聞かない。けれども、まず、

「人相がよくなる=卑しくない顔になる」

「読書は他人を幸福にする」

「読書は恋を生む」

 この三点の効用にも、ふんふんとうなずける。


 それから、「書物の気について」

 わたしはたいてい、どこへいくときも文庫本を二、三冊はカバンの中に持参している。

 たとえよまなくても、持っているというだけで、とても気持ちを落ち着けてくれるのだ。

 著者もまた、書物というのは、活字だけでなく、そのもの自体に気があると述べている。

 

 そのように考えれば、本はまるで生きもののようでもある。

 その生きものと、物心ついたときからつきあってきて、ひとつだけ胸をはっていえることは、このすばらしい生きものとの生活は、限りない夢と幸せを運んでくれるということなのである。

 

 

 



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