本日の一冊 「はる なつ あき ふゆ もうひとつ」
「はる なつ あき ふゆ もうひとつ」【銀の鈴社】
糸永 えつこ詩
高見 八重子絵
昨日の朝のこと。
みわたすかぎりの雪景色に目をみはった。
何年ぶりだろう。
すべてが銀世界。空からはまだ、降り足りないかのように、はらはらと雪が舞ってくる。
ふっと、こんな詩を思い出した。
雪
どのくらい遠くから やってきたんだろ
空のかけら
手のひらで とけて
旅が おわる
手のひらに 空
それぞれの季節に向かい合う作者の心から、ひと言ひと言紡ぎ出される言葉の素晴らしさ。
高見氏のやわらかな挿絵とみごとに調和している。
けはい
あれ?
ん?
ふっと…
きせつは
風にかくれてやってきます
こんなに短い言葉で、季節の変わり目を表現できることに、まず驚かされる。
入り日
太陽が
今日のおわりに
光のカーテンをひくと
山が
すっと せのびをしました
自然を見つめる作者のまなざしは、あくまでも優しく素直。
言葉とはこんなに心地よく、身体に吸い込まれていくように感じられるものなのか。
糸永氏は、この他にも「ふしぎの部屋から」「母です 息子です おかまいなく」などの詩集を出している。
後日また、紹介してみたい。




