本日の一冊 「てぶくろ」
「てぶくろ」【福音館】
ウクライナ民話
エウゲーニー・M・ラチョフ絵
うちだ りさこ訳
手がかじかんでしまいそうな寒い冬の朝は、この本をよく読み聞かせに持っていった。
てぶくろというと、何となく五本指のてぶくろを連想しがちだが、ここではミトンを思い浮かべてほしい。
おじいさんが落とした片方のてぶくろ。
その中にまず入り込むのは、くいしんぼねずみ。
次に、ぴょんぴょんがえる。
次に、はやあしうさぎ。
これだけで満員御礼でしょう?と思いきや、まだまだ。
次に、おしゃれぎつね。
次に、はいいろおおかみ。
え? おおかみがみんなを食べたりしないの?
子どもたちは不安そう。まだまだ続くよ。
次に、きばもちいのしし。
もうだめだよね~とため息をつく子どもたち。
いえいえ。まだ入ります。
次に、のっそりぐま。
うわあ! くま! あちこちから悲鳴。
そのとき、おじいさんが片方のてぶくろをさがしにやってきた。
むくむくと動いているてぶくろに向かって、おじいさんのこいぬがワンワンほえると……。
中にはいっていたみんなは、いっせいに逃げていったというおはなし。
ねずみもかえるも、うさぎもきつねも、おおかみもいのししも、くまも、みんなみんな、さるだんごみたいに仲良く、てぶくろの家に住んでる挿絵。何とも平和でほっこりさせられる。
一場面一場面をゆっくり読み聞かせるのには、最適の絵本だ。




