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縁の本棚  作者: 雪縁
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本日の一冊 「園芸少年」

 「園芸少年」【講談社】

           魚住 直子作


 小中高と、園芸部というのは、何だか地味な部のような印象が強かった。

 放送部、保健部などは希望者が多すぎて、先生方が困っていたが、園芸部だけはいつもすっからかん。

 かくいう私も園芸部はなるべく避けておきたいと思うひとりだった。

 草をとったり、水やりしたりして花を育てるなんてかったるい。そんな思いが強かった。

 だが、そんな気持ちを根底から覆してくれたのが本書である。


 篠崎達也はこの春から進学を目指す高校生。ふとしたことから、一年四組にいる不良っぽい大和田一平と出会う。がらが悪そうに見えても心が優しい一平は、達也とともに園芸部に入り、一生懸命に花の世話をする。


 二人はまた相談室でしか授業を受けられない庄司と出会う。庄司は顔に箱を被ることをやめられない少年であった。彼もまた園芸部員となり、花の育て方を熱心に研究していく。


 不器用な三人の生き方と、花の成長が重なる。

 達也は、過去に自分が傷つけた同級生を思い出す度に胸が痛み、庄司は独特な顔立ちによっていじめられた傷跡があまりに深い。一平はその身なりのせいで、未だに中学時代のヤクザな悪友たちとの縁が切れないままだった。


 しかし、三人の間に芽生えた友情は、やがて庄司に箱を脱ぐ勇気を与え、達也は昔の友だちに謝る機会を持ち、一平は悪友たちと縁を切るためにまゆを生やす。

 やがて、芽の出ていなかった一平のストックの鉢に、新しい芽が息吹き始める。


 主に三人の少年、父親、部活顧問の登場人物で進められる、さわやかで読後感のいい物語。

 花作りに熱中していく少年たちに、思わずエールを贈りたくなる、そんな清々しい一冊である。




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