表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁の本棚  作者: 雪縁
6/306

本日の一冊 「きつねのでんわボックス」

「きつねのでんわボックス」【金の星社】

             戸田 和代作 

             たかす かずみ絵



 家族がそれぞれに携帯電話を持つようになった現在。

 街中のでんわボックスを見かけることが少なくなった。

 今の小さな子どもたちは、でんわボックスときいてはたしてピンとくるかな?


 さて、山おくになかよしのキツネの親子がいた。

 かあさんキツネは、目の中に入れても痛くないくらいに、坊やのキツネをかわいがっていたけれど、あるとき、坊やのキツネは死んでしまう。悲しみでいっぱいのかあさんキツネは、山のふもとの古いでんわボックスに、毎日のようにでんわをかけにやってくる男の子を見かける。男の子のおかあさんは病気で入院中。

 男の子はおじいさんの家に預けられているのだった。


 でんわボックスで楽しそうにおかあさんと話す男の子に、かあさんキツネは、亡き坊やの面影を重ねてしまう。そして男の子の話す声が、あたかも坊やが自分に話しかけてくれているように感じるのだった。

 そんなある日、いつものでんわボックスが使えなくなっていた。もうすぐ男の子がでんわをしにやってくる。どうしたものかと気をもんでいるうちに、かあさんキツネは、立ったままでんわボックスに変身していた。


 かあさんキツネの化けたでんわボックスで、男の子が話していたこと。それはまもなく、男の子がおかあさんの近くに引っ越す予定で、でんわしなくても毎日会えるんだということだった。

 さびしさにうちひしがれるかあさんキツネの前で、こわれていたはずのでんわボックスにゆっくりと灯りがともる。かあさんキツネは受話器をはずし、話してみる。

「もしもし、ぼうや、あのね、かあさん、まほうがつかえたのよ」

 なにも返事はかえってこない。

 けれども、かあさんキツネの胸にかすかな灯りがともされたことを読者は感じ、安堵せざるをえない。


 子ギツネが忘れられない母の愛。

 入院中の母を思う子どもの愛。


 親子の愛情が、しみじみとあふれた一冊だ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ