本日の一冊 「子うさぎましろのお話」
「子うさぎましろのお話」【ポプラ社】
ささき たづ文
みよし せきや絵
数あるクリスマスストーリーの中で、いちばん好きなのはこの作品かもしれない。
読み聞かせボランティアを始めて、最初のクリスマスおはなし会で読んだ絵本である。
子うさぎのましろは、サンタクロースのおじいさんからいちはやくプレゼントを貰うが、おかしはまたたく間にたいらげてしまう。
もう一度プレゼントが欲しくなったましろは、別のうさぎになりすますことを考える。
いろりのもえがらの中から、すみになったのを拾い上げ、まっしろな体にこすりつけて、白黒のうさぎへと変身。サンタクロースにプレゼントをねだるが、その袋の中には、一粒の種しか残っていなかった。
その種をもらい、満足げなましろだったが、体につけたすみがとれなくなってしまい、自分が欲を出したせいだと反省する。
そこで、もらったたねを土の中に埋めて、神様におかえししようと、ゆきまみれになって穴をほる。そうするうちにいつのまにか、もとのましろにもどっていた。
春になり、そのたねが芽を出す。それはもみの木だった。
芽はどんどん成長し、十二月を迎えたときには、たくさんのもみの木のすきまをとおして、一本だけ目の覚めるようにかがやく木になっていた。そして、色とりどりのベルが、葉のかげからのぞき、えだえだにはおもちゃやえほん、おかし、リボンなどがたわわに実っていたのだった。
サンタクロースのおじいさんは手をのばして、ひとつのおにんぎょうを、えだからとりました。
みるまに、べつのおにんぎょうが、そのえだになりました。
ましろが、ひとつのはこを手にとりました。
と、みるみる、べつのはこが、そのえだになりました。
この部分が大好きだ。
取っても取っても、プレゼントが尽きないもみの木。
この木からプレゼントを取って、サンタクロースのおじいさんは、まず北の国のどうぶつたちに、そして、せかいじゅうの子どもたちに、おくりものをくばりに出かけていくのだ。
そのお手伝いに、真っ先にかけつけるのは、白うさぎの子のましろだった……というストーリー。
少々長いお話だったが、一年生はじっと聞き入ってくれていた。
雪景色の中に、一羽の白うさぎ。
色とりどりのプレゼントがたくさん実ったもみの木。
その情景がありありとイメージできる、すてきな一冊なのである。




