本日の一冊 「おつきさま こんばんは」
「おつきさま こんばんは」【福音館】
林 明子さく
表紙絵はじっと目を閉じたおつきさま。
裏表紙には、ベーと舌を出したおつきさま。
これだけでも、息子たちはこの絵本のとりこになっていた。
せんだての夜。
スーパームーンと騒がれていた満月をながめながら、この絵本を思い出していた。
夜の暗闇の中に灯りのともった一軒の家。
二匹の猫が屋根にいる。するとだんだんと屋根の上が明るくなって、顔を出したのは大きな、大きなおつきさま。
おつきさま こんばんば
そのとき、大きなくろくもが近づいてきた。
だめ だめ くもさん、こないで
おつきさまが ないちゃう
くろくもは完全におつきさまを隠してしまう。
くもさん どいて
おつきさまの おかおが みえない
すると、くもさんはこうこたえる。
ごめん ごめん
ちょっと おつきさまと
おはなし してたんだ
では さようなら
また こんど
すると、えほんの中には、再び、ニコニコと笑ったおつきさまが出てくる。
屋根の上でよりそう猫たちと、家の外でおつきさまに手をふる親子が描かれている。
なんとも、のどかでやさしい絵本。
この絵本を、晩年、痴呆の入った祖母に読んできかせてあげたこともある。
じっと聞き入ってくれていた。
月を描いた本はたくさんあるけれど、この絵本は私にとって思い出のある、大切な一冊だ。




