本日の一冊 「しずくのぼうけん」
「しずくのぼうけん」【福音館】
マリア・テルリコフスカ作
うちだ りさこ訳
大きなしずくが、でんと寝そべった表紙絵。
本のとびらを開けると、無数の雨のしずく。
本書は、科学絵本の読み物としても最適だ。
ある日、バケツから飛び出した水のひとしずく。
長い長い旅へと出発だ。
先ずは、お日さまに照らされて、高い空へ。
ところが、あっという間に黒雲広がり、
「さあ、さあ、ふるんだ、ふるんだ!」
雲に追いだされたしずくたちは、ぱらぱらじめんにあともどり。ひとしずくは岩のわれめにおちてしまった。
やがて寒い寒い夜がきて、ひとしずくはこおりのかけらに。そして再びお日さまにとかされ、もとのしずくにかわっていった。
小川に落っこちたしずくは流れ流れて、村から町へと広い川の中にやってくる。そこで水道とりいれぐちに入り込んでしまった。しずくは、ろかきでこされ、きれいになって、蛇口からひょこり。次に飛び込んだのか洗濯機。レースの中にはまりこんで、ストーブの前にぶらさがった。
やがて蒸気になったしずく、へやから逃げ出したのもつかのま。あまりの寒さで、つららとなった。
そして、作者はラストの頁でこう結んでいる。
春がくれば、つららがとけてしずくは元気に飛び出すだろう。それからきっともう一度、ぼうけんの旅に出るだろう!
しずくの旅は、こうしてエンドレスに続いていくのだ。
読み聞かせで、学年を問わずに読んだ本だ。こうした科学的な物語が好きな子たちもかなりいた。
大きく、可愛らしく、はっきりとした絵なので、絵本としても就学前から十分に楽しめそうだ。




