本日の一冊 「ロボット・カミイ」
「ロボット・カミイ」【福音館】
古田 足日作
ほりうち せいいち絵
今は亡き童話作家の大御所、古田足日氏のロングセラー。
二人の息子たちが小さいころ、一緒に読んだ児童書だ。
たけしとようこは、ようちえんのももぐみさん。
ある日、ダンボールの箱を使って、二人でロボットを作っていた。できあがったのは、目も四かく、はなも四かく、口も四かく、おまけにさがり目のなきむしロボット。
「紙でできてるから、きみはロボット・カミイよ。わかったら、へんじしろ」
ようこがそう言ったとたん、
「いいい、だ。ぼくは、人にぼくのなまえをおしえてもらうほどばかじゃないよ」
なんと、カミイはどんどん動き、しゃべりだしたのだった。
二人はカミイをようちえんにつれていくが、まあ、カミイときたら、なきむしのくせに、いばりんぼでわがままで、あまのじゃくで、みんなを怒らせてばかり。
たけしとようこは、なんとかカミイを仲間に入れさせようと努力するけれど、ジコチューなカミイにお手上げ状態。
けれども、カミイに言わせれば、自分は気持ちのままに行動しているのであって、どうしてみんなが怒るのかわからないのだ。
そんなある日、ももぐみのみんなは外におさんぽにでかけた。
みんなが道路をわたりはじめてすぐに、信号無視のまま、猛スピードで走ってくるダンプカーが!
わあっと声をあげて走り出した子どもたちは、将棋倒しに転んでしまう。その上に、ダンプカーがのしかかろうとした、まさにその瞬間。カミイが信じられない行動をとった。それは……。
いつのまにか物語に入り込んで、カミイの一部始終を見守っている自分に気がつく。
お別れの場面では、カミイの生みの親である、たけしとようこの気持ちが手にとるようにわかって、思わず涙しそうになる。
ロングセラーだけあって、とてもいい物語だと思う。
児童書だけれど、大人も十分楽しめる。子どもさんには、なお、お薦めしたい一冊だ。




