表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁の本棚  作者: 雪縁
37/306

本日の一冊 「じごくのそうべえ」

1年で最後の月となりました。毎日、本棚をのぞいてくださる方々、いつもありがとうございます。

仕事がら更新がお休みになりがちの月ではありますが、今月もせっせと本棚に入れてまいりますので、どうかお暇な時間にのぞいてみてくださいね。

 「じごくのそうべえ」【童心社】

           たじま ゆきひこ作

          

 とざい とうざい

 かるわざしの そうべえ。

 いっせいちだいの かるわざでござあい。


 朝の教室で読み聞かせがはじまる。

 三年生のクラス。みんな真剣なまなざしで、くいいるように絵本を見つめている。


 猿も木から落ちるのことわざどおりに、かるわざに失敗したそうべえは、火の車にのって地獄へ到着。

 同じ仲間の、歯ぬき師のしかい、医者のちくあん、やまぶしのふっかいらとともに、えんま大王の前に連れて行かれて地獄行きとなる。

 まず、落とされたのはふんにょうじごく。けれどじごくも水洗式になってしまってふんにょうが集まらない。

 そこでじんどんき。人を食べるオニだが、歯ぬき師のしかいが、じんどんきの歯を全部ぬいてしまう。

 かまれずにオニのはらに飛び込んだ四人がしたことは……。


 その上からぶらさがっとるひも。ひっぱってみ。

 おにが、くしゃみをしよるぞ。

 ほな、ちょっとひっぱってみまひょ。よいしょっと。


 そこのたまをこそばかしてみ、

 おにが、わらいよるさかい

 このたまでっか、せんせい。

 こちょこちょ、こちょこちょ。


 教室の中に、クスクス笑いが広がる。


 そこのふくろな、そのふくろや。

 へぶくろいうてな、こいつをけると、オニが へをこぎよるで。

 これでっか。えい! ぼん

 ぷー

 こりゃ おもしろい。


 教室は、やがて大きな笑いに包まれる。


「じごくのそうべえ」は上方落語の「地獄八景亡者の戯」といった大型落語を絵本にしたものらしい。

 三途の川をわたって地獄に着くと、そこにはえんま大王がいて、生前悪いことをしたら舌を抜かれ、針の山に登らせられ、地獄に落とされる。

 これらの知識がないと、落語もなかなかわかりにくい。せめて絵本で穴埋めを……という願いがこめられているようだ。


 じんどんきのオニをやっつけ、えんま大王をあきれかえらせ、みごとこの世に生還してきたそうべえたち。


 朝いちばんの読み聞かせは、やっぱり元気な笑い声が聞きたい。

 そんな希望から、「じごくのそうべえ」は、毎年、朝のお話の時間に、全学年をまわった絵本なのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ