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縁の本棚  作者: 雪縁
35/306

本日の一冊 「まぜごはん」内田麟太郎詩集

「まぜごはん」内田麟太郎詩集 【銀の鈴社】

             内田麟太郎作

             長野ヒデ子絵


「ともだちや」シリーズでおなじみの内田麟太郎の詩集。

 その日その日の気分で書いたものばかり。だからタイトルも「まぜごはん」と名付けたのだそう。

「まぜごはんをどうぞ」と作者のお薦めどおり、何杯か軽く試食してみよう。


  *おひさま

 

 まあるいおなかの

 おんなのひとがあるいてくる

 おなかのなかにあかちゃんをかかえて

 であったひとはおもわずほほえむ

(おめでとう!)


 そうか

 あかちゃんは

 みんなおひさまなんだ


 まあるいおなかから

 まあるくひろがっている

 あったかいひかり


 おかあさんが

 おひさまをかかえてあるいてくる

 ああ おひさまがわらっている

 

  *われ


 ぶつだは ぶったか ぶたなかったか

 みんなは ぶつだに きいてみた


 ぶつだ こたえた

「わすれてしもうた」


 みんなは おこって

 ぶつだを ぶった


 ぶつだ おこって

 たたきかえした


「ぶつだ、ぶった!」

「ぶつだ、ぶった!」


 ぶつだ

 だれにともなく さびしくつぶやいた

「われ、ぶったなり」



  *ドッチボール


 カオリちゃんが すき


 すき

 すき

 すき

 すき

 すき

 うっとり

 ボールがとんできた

―ケンタ すきだらけ!


   *ひばりに


 ぼくにはことばがない

 きみにかけることばがない


 ぼくはただすわるしかない

 うつむくきみのとなりに


 いや ぼくはたんぽぽになろう

 きみのとなりにさく


 いや たんぽぽのわたげになろう

 きみがそらへとばす


 きみのおもいのそのことばを

 とどけるゆうびんやさんになろう


 そしてとばされながらひばりにはなそう

 うつむいていたきみがかおをあげ

 ぼくをそらへふいたことを


 きみのいのちがじぶんでこしらえた

 ちいさなかぜのことを


 かくしきれないよろこびに

 こえをつまらせながら

 ひばりにはなそう


 ちいさな ちいさな かぜのことを



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