本日の一冊 「たからものくらべ」
「たからものくらべ」【福音館】
杉山 亮作
中西 恵子絵
6さいのともこと4さいのたかしのきょうだいが、たからものをくらべっこ。
それぞれのはこから、なにがでてくるかな。
ともこのはこからでてきたものは……。
あかちゃんのときの足形色紙、いろんな貝がら、さざえのつぼやきのふた、ケーキについていたかざり、どんぐり、おさしみについてるプラスチックの花、色とりどりのビー玉等々。
いっぽう、たかしのたからものは……。
せみのぬけがら、ぱちんこの玉、でんでんむしのから、まつぼっくり、なべのつまみ、ちびたえんぴつ、ビールの王冠、トイレットペーパーの芯等々。
そして、ついにおかあさんから捨てられてしまったたからものは……。
おとうさんの大きく切った足の爪、きれいに向けたせなかの皮、とかげのしっぽ、おはかから持ってきた線香、たばこのすいがら等々。
続々と出てくる奇想天外なたからものに、思わず笑ってしまう。
今は大人になってしまったわたしたちがうんと小さかったころ。こういうものがたからものの時代が、きっとあったはずだ。
ゴミばこにすてられる寸前のものを大切にひろいあげて、こっそりとどこかにしまっておいた記憶が鮮やかによみがえる。
大人にとって「どうしようもない」ものが、子どもたちの目には、きらきらとかがやく「たからもの」なんだと、この本であらためて気づかされる。
小さな子どもから、おじいちゃんおばあちゃんまでたのしめる絵本だと思う。




