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縁の本棚  作者: 雪縁
31/306

本日の一冊 「自分育てのすすめ」

「自分育てのすすめ」【講談社】

            佐藤 綾子作


 結婚してから数年間は仕事をしていた。

 楽な職場ではあったが、お世辞にも居心地がいいとはいえなかった。

 仕事に通いながら、慣れない家事をこなすだけで精一杯で、自分という人間が、ただ時間に流されていく空っぽの器としか思えないような日々が続いていた。

 そのとき、巡り会った一冊がこれ。作家であり、当時、実践女子大学助教授をされていた佐藤綾子女史の書である。


 当時の自分は、自分本来の生き方を求めて、空虚な心でもがいていた気がする。

 職場の昼休み、帰って夕食の支度をしながら、トイレの中で、ふとんの中で、肌身離さずにいたおかげで、この一冊だけは褐色に変色して、ページもかなりボロボロなのである。


 私を励ました最大の言葉。

 それは、「人生はパフォーマンス」

 すなわち、女性の一生は多彩なマスクをつけて、自分自身が演じる豊かなソーシャルドラマだということ。

 あるときは、優しい妻、あるときは頼もしい母、あるときは初々しい女性と……ひとつの役だけを仏頂面でこなすよりは、幾通りの自分を楽しみ、それぞれの役から、その知恵を学びとっていくということ。


 もし、この本に出会えなかったら、おそらく今の自分はなかったかもしれない。

 思うようにならない「子育て」の時期さえも「自分育て」の時として心底楽しめたことは幸せだった。

「自分育て」は誰とも比べることなく、「自分流」にやる。

 そのときどきの状況に応じて、学びのパイプの水流調節に気を配る。

 学んで得た知恵は自分を充実させるだけでなく、周囲の人々を包み込む糧になる。

 人生に対するプラス思考を、すべて、すべてこの本から教わったと思う。


 同じく佐藤綾子女史の「愛して学んで仕事して」もまた、知的時間の生産と、家事と勉強の同時進行に焦点をあてた、多忙な女性のための頼りになる指南書である。



次回は来週よりはじめます。また本棚をのぞいてくださいね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 雪縁様 「自分育て」って素敵な言葉ですね。 小説を書き、月を見て、花を見て、たまに勉強して、日々新しい自分を作り上げていく。 そうした自分でありたいものです。 読ませていただいてありが…
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