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本日の一冊 「ソメコとオニ」
「ソメコとオニ」【岩崎書店】
齋藤 隆介作
滝 平二郎絵
うんざりした表情のオニの背中に、喜んでのっかるひとりの少女が描かれた表紙絵。
「ソメコとオニ」は読み聞かせに楽しい絵本だ。
五つのソメコに、大人たちはだれも構ってくれない。
ひとりあそびをしているソメコの前に、大柄でちょっとこわいおじさんが現れた。そのおじさんはなんとままごと遊びをして、いっしょに遊んでくれるのだ。
―なんと、ごちそうであんす。せば、えんりょなくいただくす。
―まンず、まンず。ごはんがおすみなンしたら、このダンゴもひとつ、あがってたんせ。
この二人の方言での会話。何とも生き生きして楽しい。
けれども、実はこのおじさん、正体はオニだった。
ソメコをさらって、人質として、ソメコの親から金品をよこどりしようという作戦なのだが、果たして?
齋藤隆介の作品には、他にも「モチモチの木」「花さき山」「べろだしチョンマ」などがある。
いずれも、一年生から六年生まで、いえ、大人であるわたしたちも、幅広く楽しめる一冊である




