本日の一冊 「旬の味・料理の心」
「旬の味 料理の心」【講談社】
土井 勝作
亡くなった母は、旬の食卓をとても大切にしていた。
春は、色あざやかなピースご飯、せりごはん、つくしの卵とじ、タケノコの木の芽あえなど。夏にはシソやみょうがをふんだんに使い、秋はユズ味噌や、きのこごはん、冬にはよく山芋をすりこぎで気長におろし、とろろを作ってくれた。
だから、書店でこの本のタイトルを見たときには飛びついて購入してしまった。以来、文庫本としても、料理のテキストとしても、私にぴったり寄り添ってくれている本である。
それぞれの季節の野菜と魚と貝、海草に焦点をあてられ、 新鮮な材料の見分け方、下処理の仕方、料理の作り方、そしてアレンジの方法などがていねいに紹介されている。
著者は、昭和後期から平成初期にかけて活躍された有名な料理家である。この本のはじめに著者の願いが述べられている。
旬とは、その素材が、もっとも色あざやかに、また香り高く、たしかな味をもつときです。
栄養分も、一年中でいちばん豊かであり、自然の摂理にしたがって、旬のものを食べることは、からだのためにも、とてもいいといわれます。ですから、旬を生かした料理には、相手の健康を願い、また、いちばんおいしいときに、おいしく食べてもらいたいという心くばり、思いやりがこめられているといえるのではないでしょうか。
スーパーやコンビニで、年中なんでも手軽に買えるようになった今こそ、いつも心にとめおきたいことだと思っている。
ちなみに、今旬のまっさかりの柿は、天ぷらにしてもよし、さいの目に切って、ジャガイモやきゅうりとマヨネーズであえて、サラダにしてもおいしいとあった。今晩、試してみようかな?




