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縁の本棚  作者: 雪縁
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本日の一冊 「キワさんのたまご」

「キワさんのたまご」【ポプラ社】

           宇佐美 牧子・作

           藤原 ヒロコ・絵


 長い夏休み。

 わたしたちが小学生だった時代は「退屈」などどいう言葉は無縁だったかもしれない。

 ラジオ体操のあと、十時まで夏の友をがんばれば、あとは思いきり自由時間。男の子たちは、友だちと川に行ったり、せみとりをしたり、今のようにゲームがなくても遊べることは山ほどあった気がする。

 いつの頃からだろう……? 小学生も忙しくなった。両親が働いていれば、夏休み中は学童保育に行かなければならないし、サッカー、野球などのサークル活動もある。もちろん塾の夏期講習だって行かなければならない。

 好きなことに思いきり熱中できる時間。何かを達成するために、時間を忘れるエネルギー。

果たして、今の小学生はちゃんと持っているのだろうか。


 主人公のサトシの家は、弁当屋アサヒを営んでいる。両親共に多忙で、ひとりきりで留守番のサトシのために、お弁当を届けてくれる毎日だ。

 夏休みを迎え、昨年までいつも一緒に遊んでいた親友の颯太は、この夏は、あこがれのサッカーチームに入って楽しそうだ。

 やることが何も見つからず、暇をもてあますサトシだったが、ある日偶然、父親と訪れた農家で、養鶏を営むキワさんと出会う。

 そこに「まぼろしのたまご」があると知らされたサトシ。それを手に入れることを、この夏の目標とするのだ。


 両親には内緒で、キワさんの養鶏を手伝い始めたサトシ。けれども、キワさんは、そうかんたんにはたまごを分けてはくれない。

「あたしたちを納得させるくらい、手伝ったら……だよ」

 養鶏場には、キワさんしかいないはずなのに、ナゾの言葉を残して、 草とり、ナスのふくろづめ、ニワトリ小屋のそうじと、次々に用事を言いつけては、小学生のサトシをこき使う。

 しかし、まぼろしのたまごを手にいれることを目標にしたサトシは、もくもくとがんばる。

 しだいに、こわかったニワトリたちとも心を通わせることができはじめたサトシにある日…。


「目標がない」

 よく耳にする言葉だ。

 目標をもって、がんばっている人たちをみると、何だか彼らに後光が射しているような気がする。

 それに反して、自分は……と思うと、どっと落ちこんでしまうのだ。

 目標はなんだっていい。いくつだっていい。

 とりあえず、自分の中の停滞した空気をいれかえ、新たに始動させるためのひとつのきっかけなのだから。小さな目標をひとつずつ達成することが、大きな目標をよび、たしかな行動へと繋がる。

 私自身、経験から学んできたことでもある。


 本作品は、この夏の西日本読書感想画コンクール中学年の部の指定図書。

 作品のどの部分を切り取っても、色あざやかな感想画が書けそうな気がしてくる。



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